週末、Amazon Musicでおすすめされた懐メロプレイリストを何気なく流していたら、ふいに懐かしい曲が聴こえてきた。


「Stay by my side」――倉木麻衣。

イントロの数秒で、一瞬にして時間が巻き戻る。
よく聴いていた曲は、忘れていた自分を呼び覚ます装置だ。

その音に触れた瞬間、心の奥から当時の空気、想い、そして、“あの頃の“わたし””がふわりと立ち上がってきた。





通勤時間は、林真理子さんの小説が定番だった。

タイトルは忘れてしまったけれど、ひとつのフレーズが忘れられない。

「27歳は女のピーク」

それを読んだのは、仕事帰りの大手町。
半蔵門線のホームで電車を待ちながら、文庫本を開いていたときのこと。

その一文に目が留まり、ページをめくる手が止まった。

「わたし、今がピークなの...?」


当時の私は、仕事に遊びに、まあまあ忙しかった。
そんなある合コンの席で、5歳年上の男性がにこやかにこう言った。


「27歳か〜、今がピークだね」

やっぱりピーク?!
林さんのあの一文、やっぱり正しかったのかしら。

電車の中でひとり、考え込んだ。


かつて、女はクリスマスケーキにたとえられていた。
“25日を過ぎたら売れ残り”なんて、今だったら秒で炎上する例えだ。

そんなの、もうとっくに過去の話...そう思っていた。

ところがどっこい、時代とともに少しだけアップデート(?)されて、
「27歳ピーク説」という新たなラベルが、しれっと貼られていたとは!

27歳、結婚なんてまだ先のことだと思っていた。
それなのに、ピークだなんて...。



女の幸せは結婚


それから数年。
わたし、29歳と10ヶ月。

酒井順子さんの**『負け犬の遠吠え』**が話題になっていた。

“30代以上、未婚、子ナシ”という属性を、当時の世間は勝手に「負け犬」と呼んでいた。


もうすぐ“負け犬”ラインのわたしにとって、その言葉の破壊力はなかなかのものだった。

まるで「カウントダウン、始まってますよ」とでも言われているようで、聞き流すにはちょっと無理があった。


本の本質はもっと複雑で、ウィットに富んでいたのに、
「負け犬」という言葉だけが独り歩きし、世間では笑いのネタになっていった。


何が負け犬だ。
こっちは身を削って働いて、ちゃんと税金も納めて、社会の歯車として頑張ってるんだから。

それに、好きで未婚でいたわけじゃない。
結婚に焦りも感じていたし、できることならしたかった。
ただ、“その人”がまだ見つかっていなかっただけの話だ。

あの言葉には心底腹が立った。




それでも、女たちは前を向く


あの時代、今みたいに「多様性」なんて言葉はまだなかった(少なくとも、私の耳には届いていなかった)。
30オーバー&未婚女性は、“こじらせてる”だの“かわいそう”だの、
勝手なレッテルを貼られやすい時代だった。

でも、今は少しだけ、風向きが変わってきたと思う。


結婚するもしないも、子どもを持つ持たないも、
どんな選択も「自分で決める」ことが尊重されるようになってきた。

まだまだ完全とは言えないけれど、少なくとも20年前よりはずっと、息がしやすくなった気がする。



ピークなんて、自分で決めるもの


あの日、大手町のホームで読んだあの一文。
「27歳は女のピーク」って、やっぱり強烈だった。

でも今なら、さらっと言い返せる。

ピークなんて、人が決めるものじゃない。
自分がいちばん輝いてる、そう思える時が、その人のピークだ。

それが27歳でも、37歳でも、57歳でも。
誰かに言われるまでもなく、ちゃんと自分の“今”に自信を持っていたい。


今の未婚女子たちに伝えたいのは、あの時代の愚痴でもノスタルジーでもない。

選択できる今は、かつて誰かが息苦しさを抱えていた過去の上にある、ということを、ちょっとだけ知っておいてほしいのだ。





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