「はぁ・・・今日も疲れた。」
朝から家に忘れ物をした父の書類を届ける役目を母から授かった。
自転車で坂を駆け下り、駅のおじいちゃんに自転車の保管を任せSuicaで改札を通り電車に乗り込んだ。
「今日は憂鬱だな」
私、優愛はこの時間に見るはずだったテレビ番組「ドッキリ!」を楽しみにしていた。そのため朝起きたらテレビの前に陣取っていたはずだったのだがいつの間にか封筒を片腕で囲い吊革を軸に揺られていた。
電車には社会の荒波に揉まれて頭皮があらわになってしまった男性、これから先の社会の闇をまだ知らないであろうピカピカの女子高生のグループ、多くの修羅場を乗り越えた結果無の境地に達したであろうおばあさん、これから運動しますよと言わんばかりの見た目をした男性。
多種多様な人種が電車に揺られていると発見することができる。
「はぁ・・・私もああなるのかな」
そんなことを考えて大学生まで育ってきた。大学では多くの発見をしたが同時に多くの失望にも見舞われた。
「あ!待って!!!」
私は降りるはずの駅に電車が停車していることに気づいた。先ほどの男性や女子高生を今世紀最大ともいえる馬鹿力で跳ね除け電車のドアへと向かった。ドアは閉まりかけている、私は無我夢中に駆け出し駅に降りることに成功した。
「や・・・やった・・・ぜぇぜぇ」
右腕に何の感触もなかったため あれ?と思ったその瞬間持っていた書類がないではないか。
私はその場に立ち尽くした。まさにorzの姿勢を取って。