1987年、
ダウン症児のお母さんである
エミリー・パール・キングスレーさんが書かれた文章です。
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「オランダへようこそ!」
赤ちゃんが生まれるのを待っている時って、
一生に一度の豪華イタリア旅行を計画してるような気分。
たくさんのガイドブックを買い込んで、どんな事をしようかと計画で頭がいっぱい。
楽しくて、楽しみで、とても幸せな気分。
ちょっとした会話の本まで買っちゃって、
イタリア語での挨拶も覚えようとしたりして♪
豪華ホテルってどんなかしら?
美味しい食事も楽しめそう。
どんな服を着ていこうかしら?
夢は膨らむばかりです。
周りの友達も一人ずつイタリア旅行の計画を立ててるわ。
情報交換して思いっきり楽しまなくちゃ。
数ヶ月が経って、ついに私たちの順番が来た♪
カバンにいっぱい荷物を詰めて飛行機に乗り込む。
計画も完璧。あとは現地に着くのを待つだけ。
飛行機がとうとう着陸態勢に入って、ドキドキする。
スチュワーデスのアナウンスが流れてくる。
「オランダへようこそ♪」
(オランダですって??)
(オランダって、一体どういうことよ??)
(私はイタリアへの旅にサインしたのよ??)
(イタリア旅行をずっとずっと夢見てきたのに!!)
でも、何かの手違いで飛行機はオランダに着いてしまった。
変更も出来ないらしい。
こうなったらオランダで過ごすしかないみたい・・・・。
大事な事は・・・・・
飛行機は無人島でも、
気持ちの悪いバイキンだらけの 環境の悪い所に着いたわけでもないってこと。
ただ、「ちょっぴり違う場所」ってだけ。
さあ大変だ。
私は慌ててオランダの観光案内を買い込む。
計画していた時とは違った言葉も覚えなおして、
今まで会った事の無い人達の中に入って、、、
ここは違う場所。
イタリアよりペースはゆっくりとしているようだわ。
イタリアほど豪華な所でもないみたい。
あんなに一生懸命に計画を立てたのに・・・
「一生に一度の豪華旅行」のはずだったのに・・・
でもある日、ゆっくりと胸に空気を吸い込んだら
素敵な風車が目に付いた。
綺麗なチューリップが目に付いた。
あら、レンブラントっていう素敵な絵を描く画家も居たのね。
ちょっとずつ、オランダを楽しめるようになってきた。
周りの人たちはイタリア旅行の話で盛り上がってる。
「あそこは素敵だったわねぇ」とか
「あら、こんな場所もあったわよ?」とか、、、。
みんなとても楽しんできたみたい。
みんなの話を聞きながら私は思う。
「そうよ。私もそこに行くはずだったのよ・・・・。」
「イタリアに行く」という夢が破れたショックと
痛みは永久に消えないでしょう。
でも、「イタリアに行けなかった事」をいつまでもウジウジと考えていたらオランダの素晴らしい風景や文化を楽しめなかったでしょう。
みんなとは違う土地だけど、
私はオランダを思い切り楽しんで、そして大好きになりました。
オランダへようこそ!
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私もこんな風に思える、強くて、素敵な母になりたい。
















から夏
?梅雨
?まできたしなぁ~。



