ここ数日悲しい話題を目にしていると、


もう亡くなって10年近くになる父のことを思い出していた。


父は山が大好きな人で、私が物心ついた時から


一人でピッケルを持って山に出かけていた。


幼心に、どうして私たちを連れて行ってくれないのか、


不思議な感じがしていたが、いわゆる日本男児って


感じだった父は、無口でとっつきにくくて、


そんな気楽に声をかけられる人ではなかった。




ある時、私はもう高校生になっていたと思うんだけど、


「山って危ないでしょ。そろそろ年なんだから行くの止めたら?」


と、父の機嫌のよさそうな時に質問をぶつけてみた。


そしたら父は「山で死ねたら本望さ」と


えらくかっこいいセリフを言ってにやっと笑ってた。



そんなに山の好きな父だったけど、


晩年は健康を害して結局思うように山に行けなくなって、


そしてあっけなく亡くなってしまったんだけど。




でも私はあの父のセリフに納得してないまま


反論もできないままだったんだけど、


もし今父が目の前にいたら、


残された人tのことを考えて、そして自分の夢も


途中で打ち砕かれることを考えてと言うだろうな。



ただ山から帰ってきた父はとても幸せそうに


山であったこと、見たことを私に話してくれていたのが


私の脳裏にくっきりと刻まれている。