書評:小島宏の気になる1冊その940

梶浦真著「振り返り指導の基礎知識―質の高い授業づくりを支える理論と実践」 (教育情報出版社 本体:907円)


 著者は、<主体的・対話的で深い学び>を実現するには、「深い学び」充実とりわけ「振り返り指導」がポイントだと「①深い学びには「振り返り」という認知過程が不可欠、②AIやICTの時代には、より「振り返り」が重視される、③「振り返り」は子どもの振り返り能力・態度を育てる上で重要な役割を果たす、④教師自身がいつでも、どこでも、だれとでも状況に応じて「振り返る活動」を通して学ぶ重要性が高まる、⑤次世代を生きていく子どもたちに「振り返り能力」を育てる必要性や方法を伝えていく」ことを提言している。

 本書は、「主体的な学び」や「対話的な学び」はともかく、「深い学びはどうしたら良いものか?」と戸惑っている学校・教師に、これら①~⑤について具体的・実践的に掘り下げ、多くのヒントを与えてくれる良書である。

 内容の構成は、第1章「なぜ、今、振り返り学習なのか?(教育の進化と社会の変化、世界的な規模で進む教育の変化と授業など3節)」&「学びと実践のヒント―実践の質の精度と頻度を上げる(「主体的・対話的で深い学び」を実現する<振り返り学習>という視点、学びの質を高める<振り返り>学習など8節)」、第2章「<振り返り学習>とは何か―その理論と実際(「振り返り学習」の指導と視点、確かな学力の定着と「振り返り」学習の関係など9節)」&「学びと実践のヒント―振り返りの価値と意味を教える(学びの深まりを生む対話的な振り返り・算数、振り返り学習の種類、対話的・協働的な「振り返り」も実践してみよう・国語など15節)」、第3章「教師による授業実践の省察・振り返り(授業実践能力向上を支える教師の振り返り、教師の授業力を支える「省察的実践」など10節)」、本書誕生のきっかけを作った福井大学大学院小林和雄准教授の「あとがき(解説)」で構成されており、明日からの授業に取り入れることができる情報が満載である。