なぜこんな家に生まれたのかと嘆き、母にその思いをぶつけたときもあったが、それももう過去の話。





病弱でおよそ恵まれた環境とは言えないなか、不安を抱えながらも武士のように潔く生きてきた母。



その母も認知症となり、正常な時と認知症症状の狭間を行ったり来たりするようになった。母の不安症状が大きいため近くに住む姉は右往左往している。



母と姉が心配で、往復3時間の運転でふたりの様子を見に行くのだが、体力的な疲労よりも、毎日そばにいてフォローできない事がキツい。



ただそばにいる事だけでもどんなに安心するだろうと思うのだが、手をこまねいて認知症が進行していくのを見ているだけのような気がして、歯がゆい。



この母に、今そして今後してあげられることは何なのか、ボンヤリする時間もつい考えてしまう。





結局、できる範囲のことしかやれない訳だが、何かに振り回されず我が身我が心をしっかりと整え、自分と目の前の人の幸せを願って行動するしかないのだな、と思うに至る。