- テンペスト 第一巻 春雷 (角川文庫)/池上 永一
- ¥620
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友人のお勧めで読んだ一冊。
ファンタジーが苦手な友人♂さえも虜にした作品。
19世紀の琉球王朝。
龍が踊り狂う嵐の晩に生まれたひとりの少女・真鶴が
13歳にして難関といわれる科試に合格し、
孫寧温という宦官の男に姿を変え、
首里城の中で財政政策に着手していく話。
王室に仕える男達、女達からの四面楚歌状態の中、
彼女の生き方に魅了されずにはいられない。
ここ最近読んだ本の中では、群を抜いて面白い。
序盤の、龍が踊り狂う嵐の中で誕生するところでは
ファンタジー要素てんこ盛りだと侮っていたが
ページを進めるごとに本の世界に引き込まれた。
なにしろ、登場人物達が、悪役も含めて魅力的。
そして、文字から想像させる琉球王朝は
華やかな色彩と、独特の文化を鮮明なビジョンのように映し出す。
けっして説明が理屈っぽくないのに
これだけ鮮明な映像のように脳裏に浮かぶことは珍しい。
文庫版は、どうやら月に1冊ペースで出るようなので
感想は全部読んだ時に改めて書きたいと思うが、
たったの1ヶ月が待てないほど早く読みたい作品。
ファンタジー好きな方も
ファンタジー苦手な方も
是非読んでいただきたい一冊。
- 塩狩峠 (新潮文庫)/三浦 綾子
- ¥660
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三浦綾子といえば、「氷点」が代表作としては有名だけれど
私はこの作品の方が人生において大きな衝撃を受けた。
年代的なこともあるが、文体が非常に美しく、
表現も女性ならではの透明感があって、繊細。
キリスト教が物語の支柱とはなっているが
決して偏った宗教色の強い作品ではなく、
もともとは聖人君子でもなんでもない普通の青年が
キリスト教を通して自分の人生をみつめ、
自己犠牲という方法で本当の愛とは何かを問いかけてくる作品。
愛する人のために命をかけることはできても
何の縁もゆかりも無い人達のために
自分の命を捨てて守ることができるか・・・と問われれば、
悲しいかな、「できない」としか答えられない自分がいる。
しかも、人類愛というものを、そもそもじっくり考えたこともない。
「人類愛なんて唱えてる奴は自己満足したいだけだ」
・・・と言っていた人の言葉をふと思い出したが、
私は、それもちょっと違うと思う。
世界人類の幸せより、身近な人達の幸せの方が大事な私だけれど、
だからといって、人類愛を信じて行動している人に対し
何も行動しない人間が否定するのは間違っていると思う。
どちらも愛にかわりはなく、愛に正解も不正解もないんじゃないかな。
年を取るごとに、この作品の良さを実感できそうなので
10年後にまた読んでみたい作品のひとつ。