エッシャーのだまし絵の世界をそのままパズルアドベンチャーに持ってきたiOSタイトルが先日配信されました。
その名は「Monument Valley」。
イギリスustwo開発で、価格は400円。立体的な物質を描きながら、上下や奥行きの位置関係が不明瞭になっている、いわゆる「エッシャー的透視法」の絵画世界を利用した作品です。
エッシャー的な“だまし絵”や“視覚のトリック”を使ったタイトルとしては、「無限回廊」や「FEZ」といったものが思い浮かぶ。
しかし、本作に登場する「世界の宮殿や寺院などから影響を受けた」という建築物は、エッシャーの「物見の塔」や「滝」といった代表作と同様の雰囲気があり、「エッシャー世界の探訪」という点が本作最大の武器だ。
さてそのゲーム内容だが、プレーヤーは「アイダ」という少女を操り、ステージごとに現われる建築物の最終地点を目指す。
行きたい場所にタップ操作でアイダを移動させることが可能で、ギミックが仕込まれた建物の一部をズラしたり回転させることで道を繋ぎ、また道中のスイッチを押すことで建物の構造が変化して先への道が開けていく。
この道を繋ぐという部分がパズルとなっており、だまし絵の手法を使って妙な繋がり方をする通路を進む。
パズルそのものの難易度はそれほど高くないが、現実にはありえない方法で道を進める感覚は何度見ても魅力的だし、またスイッチによって建物全体がゴゴゴゴと動く演出もあり、建物全体が機械になっているようなダイナミックかつ精密な動きも楽しむことができる。
ステージは進むに連れて、行く手を歩きまわって邪魔をする「カラス」、通路上を動かせて上にも乗れる「トーテムくん」などが登場し、トーテムくんと協力して進む道や、歩く「カラス」を利用して進む道など、複雑かつ難しくなっていく。
パズルのギミックに集中し過ぎるとだまし絵的道筋を見落として迷うこともあるので、発想の柔らかな切り替えも重要になっている。
またエッシャーらしさを感じさせるポイントとしては、あるステージは建物の側面も道になっている点がある。
ゲームが終盤に向かうに連れて建物全体が動くようになり、また重力に関係なく建物のあらゆる面が道になる。
様々な角度から建物を見る立体的な思考がだんだんと必要になってくるのも、本作の特徴と言える。
背景や建物のグラフィックスはどこかの世界にぼおっと浮かんでいるような幻想的な雰囲気になっており、現実感の薄れたパズルにとてもマッチしている。
なお簡単ではあるがストーリー的な要素も入っているので、パズルの面白さも相まって1度始めると一気にやってしまうほど没入させてくれる。
価格は400円とモバイルゲームとしては高めですが、その分しっかりした作り込みになっているので、ぜひプレイしてみてください。