昨夜、帰宅途中にふと空を見上げたら
冬の星座が瞬いていた。
夜空は限りなく澄んでいて
星達のきらめきに感動しているうちに
ふっと涙がこぼれそうになった。
生きていることは素晴らしいことだけど
そのことを身も心も同時に、感じ入るというのはほんのわずかのような気がする。
でも
生きているからこそ、美しい星空に涙することもできる。
生きていてよかった。
でも同時に生きていくというのは本当に厳しいことだ。
だからこそ、例えちっぽけなことでも
心から喜んだり、時には両手いっぱいで感謝の気持ちを伝えたくなる。
それも生きていればこそ、だと思う。


大晦日の夜、テレビの第九を聴きながら、この一年を振り返っている。
一年前はまるで闘病の頃に戻ったように
真っ暗闇だった。
コスメ会社から一方的に契約を破棄され
明日は生きていけるのだろうかと不安におののいていた。
リハビリも週三回通院という診断だったが
病院にも行けないと思ったら、PTのI先生の顔が浮かんできて、泣きたくなった。
昨年の大晦日は、大丸百貨店に勤務するソムリエ女性に会いに行ったら退職していて、
そのままワインも買わずに、
東京駅の構内で独りラーメンをすすりながら
不幸のどん底に突き落とされたことをしみじみとかみしめて
来年はどうやって生きていこうかと、憂いでいた。
あのラーメンの味だけは、今でもよく覚えている。


闘病中は涙すら流れなかった過酷な状況だったけど、
「奇跡の生還」「劇的な回復」と言われ、
自分自身だけでなく周囲に勇気を与えることができた私は
「また生きていける!私は第二の人生を歩むのだ!」
と意気揚々としていた。
絵本作家やイラストレーターらとボランティアで病院個展をという企画もあったのに、
全てがペンディング。
自分の生きる道を見いだすことが先決となってしまったこの一年、
混乱が続いたけど
夕刊紙の媒体で、リハビリテーションの現場や
患者とリハビリを支えた医療者らの取材ができて
本当によかったと心から感謝している。


去年のような暗闇の年末年始になりたくない!なるものか!
と私は今年の11月から来年の仕事のために営業を開始した。
OLの恋愛事情を取材執筆のコラム連載『オフィスのナイショ話』が夕刊フジで続行が決まってから
まずはほっと一息。
そこで女性誌に著名人のリハビリ&家族の物語を売り込み、
担当レベルではOK、編集会議で通るために、この正月は企画書を作成する予定です。
ぶじ通って、著名人のリハビリを執筆できるなら
それも“生き延びてリハビリが成功した”私の役割だと思っています。
また映画ライターとして映画紹介をモバイルの即効映画検索サイトで
来年も引き続き執筆できるのは嬉しいですね。
ケイタイ小説も開始します。
復帰してすぐぐらいの時に
ラブコスティック劇場という女性サイトのワンコーナーで
夏目かをるというペンネームで25~35歳の女性達の恋愛群像を執筆、
まだ綺麗にバックナンバーとして残っています。嬉しいですね。
この恋愛小説を元に
主人公は同じだけど、物語の結末が異なるというもう一つのラブストーリーを
ケイタイで書いていくつもり。
来年からいよいよ新生“私”の第一歩が始まりそうです。


今年の混乱の大きな理由は
コスメ会社とのことでした。
昨年の暮れに一方的に契約破棄をされただけでなく
商品名のコピー代が未払いなのです。
第一回の裁判が12月の始めに開かれ
弁護士からもらった書類に目を通して、またひどく心が痛みました。
私が病気前にバイトで一日7万以上の売り上げを売ったことも知らない、
入院前に商品名コピーをもらったこともなく、
さらに私に会ったこともないと言うのです。
この嘘八百だけでなく、
去年の暮れに一方的に契約破棄をした時に
今後は単発で依頼をお願いすると言った、など事実を偽造していて。。。。。
また涙してしまいました。あまりにもひどすぎて……


病気という悪魔と闘ってきた後で
尽くした会社から使い捨て同然にされただけでなく、
人の心に鬼が棲んでいるということを身をもって知らされた私……
何度も絶望の淵に立たされましたが
心に鬼が棲んでいる人もいれば、光を与えてくれ時には神様の代理人のような人もいます。
私の楽観的な性格が幸いしているのかもしれませんが、
人を生かすのも殺すのも、人です。
医療の現場で、そのことを全身全霊で感じ取った私が社会に出て感じたのは
「人が人を救う」ことなのだと思います。
去年の激動からそして混乱に満ちた今年最後の日でも、
人を信じたいという気持ちを失わないからこそ
来年も生きていけるような気がします。


闘病中の方に、そして社会復帰しようとしている人に、幸あれ!
そして不況の嵐でもがいている人たち、いろんな事情で苦しい年末を向かえている人たち全てに!
いま第九の最終章、歓喜の歌が高らかに流れています。
来年こそ!良い年でありますように☆