翔太:男。高校2年生。陽気、フレンドリー、学力は下。

琴音:女。高校1年生。陰気、ふさぎ込みがち、勉強しかすることなかったタイプ。

 

翔太は毎朝、男子3人グループで登校。今日も、その三人で学校の最寄りの駅に降りた。外は雨。

駅のホームも濡れてる。それぐらい横殴りの雨。

 

この駅は、ホームは2階で一階が改札。改札の真正面にはコンビニ、パン屋が並んでいる。

 

琴音はカバンに手を入れた。「あれ、ない? 」「あー、入れてきてないかぁ」。ほかの学生は、それぞれ傘を差すか、相合傘。もちろん、琴音には相合傘の相手はいない。

 

翔太はいつも通り、改札に向かって階段を下りる。下りる途中に、たまたまカバンに手を入れ、何かを探している様子の女子を見る。手を抜いた。その手には何もなかった。

 

その女子の周りを学生が通りすぎていく。

 

「あれ、今日みんな傘ある?? 」 「えっ、あるけど。翔太忘れた感じ? 」 「んー、まぁそんなとこ」

翔太は改札をほかの二人より早く抜けると、その女子のほうへ向かう。「ねぇ」

 

「ねぇ」。あれ、これ私に言ってる??。左側から聞こえる。視線を左に移すと、折り畳み傘を持った手が琴音の目の高さにあった。「えっ? 」

 

「えっ、って傘ないでしょ」 「・・・」 「遅刻するよ」 「あっ、でも・・・」 「あっ、俺はいいから」

 

琴音は性別だけ確認できた。男子だ。男子は踵を返し、一人の傘もとに入った。

 

翔太は、二人の元へ戻った。

「えっ、知り合い??」 「まさか」