私は長男誕生の際、出産に立ち会っていました。
45時間という長丁場で、体力は(妻にこんなこと言えなかったけど)限界に近付いてました。
妻は北海道に里帰りしており、陣痛開始の一報を受けて私は仕事の引き継ぎをして羽田空港へ向かいました。
その時はこんなに大変なことになるとは思いもしなかったものです。
10分置きにやってくる妻の陣痛に併せて背中をさすり、痛みを和らげる…ということを延々と繰り返しました。
「本当に産まれるのか。」
出口の確認を助産師さんがするも、40時間状況が変わらず、何か諦めのような気持ちが胸を過る瞬間もありました。
しかし、そこは私の中の松岡修造が叫ぶのです。
「そこで諦めるのか!?てっぺんに!富士山になるっていっただろ!!??」
いまが勝負時。
病院で2度目の朝を迎えた時、妻の表情も変わりました。
それから暫くして、長男誕生。
よく、産まれても泣かなくて…という話を聞くのでそんなことを想像してましたが、
顔を見る前から元気な泣き声が聞こえてきました。
そして、目の前にしわくしゃの長男が。
小さい頃から、「おまえは産まれたとき猿だった。」と父に言われてましたが(あんまいい気しなかった)、
なるほどそういうことかと、納得した瞬間でした。
でも、その後すぐ、足のことが気になりました。
「なんか曲がってる?」
産まれてすぐ子どもは妻のところへは行きませんでした。
これはどの子もそうらしいですが、検査台に置かれ、反射や四肢、呼吸の確認が行われました。
そして、その作業の最中、私が問う前にお医者さんが、
「足が曲がっているようだけど、これは添え木をしばらくすれば治るから。」
とサラリと教えてくれました。
「内反足」という言葉もこの時に知りました。
「なんだ、すぐ治るのか。」
私は安堵しました。
多分、お医者さんはこれが狙いだったんでしょう。
この後、私は内反足のことを調べ、
「先天性内反足」は容易には治らないこと。
「内反位足」なら短期間で治ることを知ります。
お医者さんの話から「息子は内反位足なんだな。」と思考するわけですが、その頭のどこかで「先天性内反足だったらどうしよう。」と考えているわけです。
両者の違いは、
内反位足の場合、見た目には曲がっていても足首は柔らかく、手で用意に正常な位置に向きを変えることができます。
それが、先天性内反足の場合は足首が固く、ちょっと力を加えるだけでは正常な形にすることはできません。
妻の実家でシャワーを浴びた後、再び病院を訪れた私は息子の足首に手を添えました。
そして、その足首はびっくりするほど硬かったのです。
まだ正式な診断が下ったわけではないけれど、これは覚悟が必要になってくるなと思った瞬間でした。
東京に戻って暫くすると、正式に「先天性内反足」の診断が出ました。
☆つけたし☆
初めのお医者さんの一言、
「足が曲がっているようだけど、これは添え木をしばらくすれば治るから。」
これには「誤診か?」という思いもあります。
実際、1000人に1人とかの割合ですし、産科の先生では簡単に診断できるものではないかなとも思います。
ただ、私と妻はこの一言によってその瞬間本当に安堵し、純粋に長男の誕生を喜ぶことができました。
この価値は非常に大きいものだと思います。
お医者さんはプロとして、いたずらにあの場で親を不安にさせるようなことを言わなかったのだろうと、今では考えています。