残していく、見えないもの。
これは2002年の秋場所、横綱貴乃花と大関朝青龍の1番。
この1番は、見てる側が熱くなる数ある名勝負の一つだと思う。
ケガに悩まされた晩年の横綱に、これから上を狙っていく伸び盛りの大関。
取組後、相手に敬意を払い、感情を表に出さない横綱と、気迫を全面に押しだし、負けた後も悔しさを露わにする大関。
横綱とはなんたるやを教えられる1番だ。
横綱とは、相手に持てる力を全て出させ(胸を貸す)、それで最後に勝つという意味がある。
だからこそ負けた相手は横綱という地位を敬い、憧れ、稽古に精進する。
昔、貴乃花親方の特集で、死ぬ気で稽古しないと生き残れない世界に自分は飛び込んだんだと、入門してからわかったと言っていた。
そして、親方になってからもそれを守っている。相撲界すべてを守るために人生を捧げているように見える。
何が親方をそこまで動かすのかは分からないけど、相撲を心から愛している強い気持ちともう一つ、お父さんである先代の親方の想いも乗っかっているような、そんな気がしてならない。