好きなお菓子は?とたずねられたら、迷わずドーナツです、と答えます。私は子どもの頃からドーナツが大好き!ドーナツは、なんといってもあのフォルムが魅力的。まんまるで、ふかふかしていて、真ん中にこれまた、まあるい穴があいている。人懐っこいといったら変ですが、親しみをおぼえるフォルムですよね。小さな子が描くお菓子の絵には、たいていドーナツが登場しますし。もしもドーナツが、きんつばみたいにビシッとした正方形だったりしたら、今ほどドーナツを好きになっていたかどうか…。
小さな小さな田舎町に暮らしていた子ども時代、そこにはケーキ屋さんもなく、私たち一家の「スペシャルなおやつ」といえば、頑張って自転車を20分くらいとばした先にある大きなスーパーの一角にあったミスタードーナツのドーナツでした。お店にずらりとならんだドーナツのトレイ、ピンクのチョコレートのかかってるのや、ねじってお花のように作ってあるの、チョコレート味の…たくさんの中からワクワクしながらドーナツを選ぶ時間が大好きでした。今では、その町にも「パティスリー○○」なんていうお洒落なケーキ屋さんが出来ていて、帰省すると両親が買ってきてくれているのはドーナツではなくお洒落なケーキになりました。けれど私の子ども時代の記憶の中では、従姉妹たちが訪ねてきたときに一緒に食べたドーナツ、運動会の帰りにご褒美に買ってもらったドーナツ、というふうに、ドーナツの存在=ふるさとの記憶、となっていることが少なくありません。
中高生になると学校や駅の近くのミスタードーナツで、友人と一緒にドーナツを食べながら他愛のないおしゃべりにふけるのが楽しみでした。ケーキ屋さんだと、ケーキとお茶のセットでも学生には厳しい値段ですが、ドーナツなら飲み物を付けてもお小遣いで十分買えますものね。そんな庶民の味方的なところも私がドーナツを好きな理由のひとつかもしれません。
もちろん、母親と一緒に家で作るドーナツも大好きでした。生地を伸ばして、ドーナツ型で抜き(この型抜き作業が楽しかった!)、大きなフライパンで揚げると、キッチンが甘い匂いでいっぱいになりました。母がお砂糖をたっぷりまぶしてくれたシンプルなドーナツを食べると、子ども心に「ああ、幸せ。」なんて思ったものです。ドーナツは、粉、卵、牛乳と材料はシンプルですが、生地を麺棒で伸ばして打ち粉をして、型で抜いて…母はよくあんな面倒なことをマメにしてくれたものだと感謝の一言です。私も今は母親の立場になりましたが、なかなか面倒で、ついつい買って済ませてしまっているダメな親です。
子ども時代からずうっとドーナツが好きだった私ですが、数年前まではミスタードーナツ一辺倒でした。そんな私のドーナツ歴に新しい風を吹かせてくれたのがアメリカでの生活でした。夫の仕事のために滞在していたアメリカでは、地の利がないこともあっていつも同じ大型スーパーで買い物をしていたのですが、そこのレジの手前にいつも「クリスピークリーム」というドーナツが置いてあったのです。日本のレジの手前にも「ついで買い」を期待してかガムや乾電池などちょっとした商品が並んでいますが、そこはアメリカ、1ダース入りのドーナツの箱が山と積まれているのです。当然私は、かなりの頻度で「ついで買い」の誘惑に屈していました。クリスピークリームドーナツは近年日本に上陸して、東京でも買えるようになりましたよね。日本のものより大きくてフワフワしていて、カラフルなグレーズやチョコレートがたっぷりかかっています。現地では1個1ドル前後で、スーパーの一角で何気なく売られていたクリスピークリームだったのですが、帰国後日本の店舗に行ってみると「お洒落スイーツショップ」という雰囲気で、値段も1個200円前後となんだか少し遠い存在になってしまった感があるのですが、時々むしょうに食べたくなってしまうのです。
アメリカといえばダンキンドーナツも当地では最大手といってもいいくらいメジャーでしたが、日本では見たことがないような気がして調べてみると、1970年代には日本で営業していたようです。事情があってほどなく撤退してしまったとか。もう一度再上陸してくれないかな、と期待しています。
他にも最近では焼きドーナツや、生ドーナツなんていうヘルシー志向なものもありますね。焼きドーナツも生ドーナツも美味しいし、実際にそのカロリー表示を見ると「わっ!普通のドーナツよりずっと低い(100kcalほどの差があります)!」と驚かされるのですが、たとえメタボの大敵と言われようと、私は油で揚げたふんわりドーナツが好きだなあ、と頑なに思い続けているのです。
そして、最近ちょっと寂しいことが…。今まで「ドーナツ買おうか。」と声をかければ大喜びでついて来た息子が大きくなり、この頃は「オレ、甘いのはちょっと…」と付きあってくれなくなってきたのです。大好きなドーナツとはいえ、一人で買って食べるのはイマイチ気分が上がらないものだということに気付かされました。お菓子を食べる幸せというのは、何を食べるかというのと同じくらい、誰と食べるかということに影響されるもののようです。
