昨日色々とCD-Rを発掘したと書きましたが、その中にあった1枚です。
ピンク・フロイドの88年ツアーを収めたライヴ2枚組。邦題は「光~パーフェクトライヴ」というなんだか大それたもの。とはいってもタイトルに反して完全収録ではありません。どうせならCDの容量をフルに使って完全収録にすればよかったのに。
さて、この時期のフロイドは83年のロジャー・ウォーターズ脱退とその後のゴタゴタの後残った3人で続けることになったいわゆる「ギルモア・フロイド」と呼ばれる時期です。
87年にはアルバム「鬱」を発表。この作品はあまり評価は高くなかったのですが、ツアーを始めるとやはり「ピンク・フロイド」というブランドの力は大きく、各地で大成功を収めました。そのツアーの模様を収めたのが本CDになります。
ライヴの構成はまず“Shine On You Crazy Diamond”で幕を開け、その後は「鬱」からの新曲を畳み掛けていきます(実際“One Slip”を除いて全曲演奏しました)。そして第二部はフロイド・クラシックをこれでもかと演奏し、アンコールは“One Slip”と“Run Like Hell”という内容でした。
このアルバムも基本的にはそのフォーマットに則って作られています。CD1が第一部、CD2が第二部という感じです。
さて、内容と言うか個人的な感想なのですが、なんか物足りない印象を受けてしまいます。選曲も妥当だと思うし、演奏はよくまとまっています。でもなんだか綺麗すぎるというか、いまいち盛り上がりに欠けるような感は否めません。この「ギルモア・フロイド」をロジャー・ウォーターズは「よく出来たニセモノ」と言ったそうですがこの言葉が当たらずとも遠からずといった感じです。70年代のフロイドのライヴをブートなどで聞いたことのある人ならわかると思いますが、あの神秘的というか幽玄としたムードが無いのです。はっきり言ってしまえばこれはプログレではないと思います。レイドバックしすぎているのが原因か? ただ“Comfortably Numb”は最高。この曲のギルモアのヴォーカルもギターも絶品です。
面白いのはギルモアが70年代よりも圧倒的に歌が上手くなっている所。70年代フロイドの弱点はヴォーカルが弱い所だったのですが、何があったのかは知りませんがライヴの最初から最後まで素晴らしい喉を披露しています。ギターも上手くなっていないか?
と、いうわけで個人的にはあまり高い評価を与えられないのですが、セールス面では大成功したので結果オーライという感じなのでしょうか。たぶんこれはピンク・フロイドに何を求めるかの違いだと思いますが元々サイケなアングラバンドとしてスタートしたフロイドがここまでの巨大な成功を収めるには仕方のなかった変化だと思います。ピンク・フロイドが巨大スタジアムでライヴをやると言うのはいまいち実感が出来ませんがそれが事実だから否定のしようがありません。このくらいの音が欧米人にはちょうどいいのかもしれません。
ともあれ、ギルモアがもうフロイドはやらないと言っている以上彼らの姿をうかがい知る貴重なサンプルであることは間違いありません。ちょっと否定的なことを書いてしまいましたがこれはこれで楽しめますので「ロジャー・ウォーターズのいないフロイドなんて」とは言わずに一度聞いてみて下さい。批判はそれからでも遅くないと思うので……。
収録曲
Disc1
1. Shine On You Crazy Diamond
2. Learning To Fly
3. Yet Another Movie
4. Round And Round
5. Sorrow
6. The Dogs Of War
7. On The Turning Away
Disc2
1. One Of These Days
2. Time
3. Wish You Were Here
4. Us And Them
5. Money
6. Another Brick In The Wall Part2
7. Comfortably Numb
8. Run Like Hell