【安藤百福・日清食品創業者会長が死去――即席ラーメン生みの親】
日清食品の創業者で、インスタントラーメンの生みの親の安藤百福(あんどう・ももふく)氏が5日午後6時40分、急性心筋梗塞(こうそく)のため、大阪府池田市の病院で死去した。96歳だった。連絡先は日清食品総務部。社葬を行うが日取りは未定。喪主は妻、仁子(まさこ)さん。
1948年に前身の中交総社を設立し、58年商号変更。81年6月から代表取締役会長、2005年6月から創業者会長。世界初のインスタントラーメンとなる「チキンラーメン」を開発し、即席めんが年間50億食が消費される国民食へと成長する礎を築いた。
(日経新聞 2007/1/6)
連結売上高3200億円超の「日清食品株式会社
」の創業者にしてインスタントラーメンの父である安藤百福氏が大往生した。
近年、NHKプロジェクトXでも「魔法のラーメン 82億食の奇跡~カップめん・どん底からの逆転劇~」としてその誕生秘話を見た事があるが、普段何気なく食しているインスタントラーメン、侮れないものであると思った。
他にも安藤氏のインスタントラーメンにかける情熱は、ノンフィクションやマンガなどで子供たちにも知られているらしい。
「インスタントラーメン誕生物語」(PHP出版)
「インスタントラーメンの秘密」(学習研究社)
そんなハレー彗星の子(笑)、安藤氏の創業した日清食品は、今や業界最大手である。昨年末、ハゲタカファンドの買収の危機にあった「明星食品
」を完全子会社化し、「明星チャルメラ」ブランドを手に入れてますます意気盛んである。
【即席めん業界】 売上高は連結(2005年度)、右は主要ブランド
日清食品 3200億円 カップヌードル チキンラーメン ラ王
東洋水産
2233億円 まるちゃん
サンヨー食品
931億円 サッポロ一番
明星食品 788億円 ちゃるめら
エースコック
638億円 スーパーカップ
ふと、何やら無性にこの訃報と記事を書いていると小腹が空いてきて、近所のコンビニまで「チキンラーメン」を買いにいった。
「すぐおいしい すごくおいしい」
具も無いチキンラーメンをすすりながら、食文化に多大な影響(功罪含んで)を与えた偉大な人物への哀悼の意としたい。
【<訃報>安藤百福さん 飢えからの解放決意…破産乗り越え】
「食足世平(しょくそくせへい)」。世界中で年間857億食が消費される即席めんを創造した安藤百福(ももふく)さんは、自身が作ったこの四字熟語を好んだ。直訳すれば、「食が足りて初めて世の中は泰平になる」だが、安藤さんが込めたのは、「食を通じて世の中の役に立つ」という決意だった。日清食品の企業理念でもあるこの言葉は敗戦後、焦土と化した大阪の街で、安藤さんが自身に立てた誓いであり、破産という人生の逆境で不死鳥のように蘇るエネルギーでもあった。
安藤さんは敗戦で、集荷・問屋会社などの事業の大半が灰塵に帰したが、「戦後復興にはまず飢えから解放だ。食からすべての建設は始まる」と決意、食品事業を起こす。事業は順調だったが、懇願されて理事長に就いた信用組合が倒産し全財産を失なった。46歳だった。 「今となっては、あの空白の時間が新事業のために必要だった」と安藤さんは語っていたが、家内労働で細々と営まれていたラーメンの大規模工場生産という前代未聞のアイデアは、この時期に醸成された。
2年後の58年8月25日、世界初の即席めん「チキンラーメン」は1袋35円で売り出された。うどん玉1個6円の時代。流通関係者の評判は芳しくなかったが、「お湯をかけて2分間」とうたって有名百貨店で実施した試食キャンペーンが女性たちから支持された。「即席めんは主婦の解放に役立った」。
経営者としての安藤さんが尊んだのは独創性だった。他の追随を許さない独創を支えたのは好奇心と観察眼だ。今や即席めんの代名詞にもなっているカップヌードルは、スーパーの担当者がチキンラーメンを二つ折りに紙コップに入れて試食したのをヒントに開発された。
01年には宇宙食ラーメンの開発に着手。宇宙飛行士、野口聡一さんが05年に搭乗した米国スペースシャトル「ディスカバリー」に持ち込まれた。「対立する国の人とも、同じ宇宙空間でラーメンを食べられるなんて夢がある」と喜んでいた。
「商品はあくまでオリジナルでなければ成功しない。他人がやっているからでは決して成功しない」と安藤さんは力説した。
◇4日に年頭所感
安藤さんは前日4日午前に同社の大阪本社で開かれた仕事始めで社員に向けて所感を述べ、その後は新年のあいさつに訪れた来客者の応対をした。その際、時折せきをする場面があり、風邪気味だったという。同日昼には、役員を交えた昼食会で、おもちを入れた同社製品のチキンラーメンを食べたという。5日昼過ぎ、体調の不良を訴え、午後3時ごろに大阪府池田市の自宅から同市立池田病院に搬送された。
(毎日新聞 2007/1/6)