あなたの手を引いて通った病院には

今は、あなたの運転で病院まで

連れて行ってもらいます。

 

 

教室作りも、私が教えていたのに

今は、あなたからアドバイスをもらう

 

 

ホームページも調べ物も全部

自分でしていたのに今は、

あなたに聞いたほうが早い

 

 

私が行けない教室には

代わりに挨拶をしてくれる

 

 

「食べた後のお皿は洗っておいてね」

休みの日は食事当番を勝手に決めて

作ってもらって食べる

 

 

時々

「今日はお皿洗い、お願いします」と

言われるけどね

 

 

大学と教室とバイトと重なっても

容赦なく私の用事を入れる

 

 

車で出かけたとき帰りが午前様に

なることがあって、心配で帰るまで

眠れなかったりする

 

 

あなたが無事に帰ったら

眠ったふりをして、

安心してそれからやっと眠る

 

 

食事の時に

「イチローが何で自分のスタイルに

こだわるかわかる?」と言って

 

 

「お母さん、

それ前にも聞いたよ3回目!!」

と言われる

・・・言ったことを忘れてる!

 

 

「肝臓を防御してそれからある程度

好きな物を食べるんだよ」

「わかってるって!」と言われる

 

 

「指を使う仕事だから

指先はいつもきれいにね」

「はい、はい」

 

 

私は、あなた達を過保護に育てました

そうしないと、命を繋いでいくのが

難しい時期があったから

 

 

いつかあなたが親になり

男の子を授かった時には

私のように過保護になり無駄に心配し、

うるさがられるかもしれません

 

 

でもこれだけは、自信をもって言えます

 

あなたの子どもたちは、

いつ一人暮らしをしてもいいように

家事全般覚え、自分のことは自分で

できる子に育っているはずです

 

 

「失敗してもいいから

チャレンジしてごらん」と

あなたは子どもたちに言ってるはずです

 

 

「友達は大事にしろよ」

 

「男は、髪型と足元は

いつも気にしていろ」

 

 

「自分が身に付ける物には神経を使え」

 

 

「約束は守れ」

 

 

「お金の貸し借りはするな」

 

 

「貸したお金は上げたものと思え」

 

 

「自分の好きなことをしろ」

 

 

「誰かのためではなく

自分のために生きていくんだぞ」

 

 

「親の面倒と家族の間で悩んだら、

迷わず自分たちの生活を優先するんだぞ」

 

 

そんなふうに、私の未来の孫たちに

伝えているはずです

 

 

だって、私はあなたを

そんなふうに育てましたから

 

 

私のこの世での一番の仕事は、

あなたに「生まれてきてよかった」と

思ってもらえることです

 

 

独りであっても家族があっても、

子どもがいてもいなくても

どちらでもいいのです

あなたが幸せに暮らしていれば

 

 

大丈夫です

それまで、それを見届けるまで

私は元気でいますから安心してください

 

 

だから、もう少し

小言を言わせてくださいね

 

 

私が認知症になったらあなたの顔を

忘れてしまうかもしれません

 

 

でも、あなたの名前だけは

忘れないような気がします

 

 

お父さんにも、おじちゃんにも

妹たちにもあなたの名前を

連呼するような気がしています

 

 

そして、あなたは

「誰を見ても俺の名前を言うんだ!」って

困っているかもしれません

 

 

その時には、あなたの小さかった

時のことを思い出して、

どうか大目にみてください

 

 

少々不自由なことがあっても

諦めなければチャンスはあります

 

 

幸せは、

いつも足元に転がっているのに、

それに気づかなければ

拾うことができません

 

 

言い訳をすればきりがありません

 

 

不満を言っても何も解決しません

 

 

人の批判をしている時間はありません

時間は有限なのです

 

 

さあ、今日も笑って顔を上げて、

私に与えられた時間を

精一杯生きて行こう

 

 

それが、唯一私があなたに

遺せるものだと思っています

 

 

あなたは、もう聞き飽きた言葉かも

しれませんが、やっぱり私は

何度でもこう言います

 

 

「私のところに生まれてきて

くれてありがとう、

あなた達に逢えてうれしかった」と

 

 

たとえ、

あなたの顔がわからなくなっても

私は、何度でもあなたに

そう言い続けると思います