機内映画で『土を喰らう12ヶ月』という作品を観た。

英語のタイトルはZen Diary。

長野の山奥で1人暮らす作家のツトムは、幼い頃に禅寺に預けられていたことがあり、その時に学んだ精進料理を日々調理し食べて暮らしている。妻は13年前に亡くなっている。時々訪ねてくる編集者のマチコは歳の離れた恋人だ。

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映画『土を喰らう十二ヵ月』｜大ヒット上映中主演：沢田研二。水上勉の名著「土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―」を原案に、中江裕司監督が映画化。料理を土井善晴が担当。11月11日（金）全国公開。

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ツトム役が沢田研二さん、マチコ役が松たか子さん。

このタイプの映画は好き嫌いが分かれると思うけれど、私はとても好きだ。特に機内で見るにはこのくらい穏やかな映画がいい。

私がこの映画を観ている時に、私の隣に座っていたイタリア人とスイス人が

「何を観ているの？」

と話しかけてきた。

「Zen Diary。山で採れる野菜とかを調理して食べて自然の中で生活する話」

と、ザックリと説明してみたけれど、2人とも

「肉食べられないのー。力出ないー。老人じゃないし病気でもないのにTOFUとか無理ー」

という反応だった。

私が日本人だと知って、ワギュウが食べたい、ワギュウ最高と連呼していた。きっとこの人たちにはこの映画の良さは伝わらない。2人とも日本へ行ったことはないそうだが、和牛、ラーメン、天ぷらを山ほど食べたいそうだ。

この映画に出てくる料理の監修は土井善晴さん。

短期間とはいえ日本を離れている時に見ると、そのシンプルな料理の数々が美味しそうで食べたくってたまらない。

この映画を観ながら、沢田さんの演技は『キネマの神様』よりもこっちのほうが好みだなと思っていた。役柄設定のせいもあるかもしれないけれど。

映画の中では奈良岡朋子さん演じる義母チエが登場する。チエは山の中の小屋に1人で暮らしていて、ツトムは時々様子を見に訪ねている。

ツトムが義母を訪ねる場面で、小屋の外から

「チエさーん！」

と呼びかける場面を見たときに、突然思った。

ジュリーいい声だなぁ。若い時と全然変わらないなぁ。

私が物心着く頃には既に大スターで、ヒット曲は当たり前のようにテレビで流れていて知っていた。だけど特別にファンというわけではなかった。

近年は若い頃とはだいぶ変わったビジュアルになったね、ということや、何年か前のドタキャン騒動くらいしか私のジュリーに関する知識はない。

だけど、作品の中で発せられた「チエさーん」という声を聞いた時（機内の全然質の良くないイヤホンを使っていたにも関わらず）まるで啓示を受けたかのようにジュリーの歌を聞きに行かなくちゃ、今すぐと思った。

飛行機を降りて、仕事を終えてすぐ、「沢田研二　コンサート」で検索したら、今全国ツアーの真っ只中ではないか。だけどどこの会場も予定枚数完売となっていた。

ですよねぇ。

ジュリーといえばドタキャン騒動の時に連日メディアで叩かれまくっていたのに、当のファンの方たちは

「ジュリーですからねぇ。そういうところも含めて」

という感じでインタビューに答えていて、ファンとの絆の強さみたいのがすごいなぁと思っていた。報道内容との温度差をすごく感じてとても印象に残っている。

だから、往年のコアなファンがたくさんいるだろうしチケット完売は予想通りではあった。

とはいえ、ジュリーも私の親くらいのお年である。今元気でも、明日何が起こってもおかしくない年齢のはずだ。会いに行きたいと思った時に会いに行かなきゃ何かあった時に絶対後悔する。

なんだか私は焦っていた。

で、ダメなのは承知の上で再びチケットぴあをチェックしてみたら、追加公演決定の文字が！

早速抽選に申し込んでみた。当落の結果はまだわからない。

抽選申し込みをして、ホームページに戻ってみたら、リセールページがあることに気がついた。コンサートには滅多に行かないからこういうのはあまり詳しくない。

そういえば絶賛推し活中のトミコが言ってたな。なんとしてでもチケットを確保するためにみんな多めの枚数を応募したりして、複数当選したら一緒に行く人をネットで探したりするって。そうして余ってしまったチケットがリセールに出されているのかな？

とにかくチャンスを逃さないようにしよう。勢いにまかせてチケットを買ってしまった

買ってしまってからやや不安になった。

ジュリーのコンサートってどんな感じなんだろう・・・

何か雰囲気がわかるかなぁと思ってXで検索してみたら

「沢田研二さん76歳のお誕生日おめでとう」

の言葉が溢れていた。

奇しくも私がチケットを購入した日はジュリー76歳のお誕生日だったみたい。これは運命！？

おめでとうの言葉だらけのXでは結局コンサートの雰囲気はわからず。

夜、トミコと飲みに行った時に聞いてみた。

アジのお刺身もっちもちで美味しかった

「私さぁ、ジュリーのコンサートに行ってみることにしたんだけど・・・」

「ジュリー！？突然すごいところ突いてきたね」

どうしてそんなことになったのか酒を飲みながら説明をする。

「コンサートってほとんど行ったことなくて雰囲気がわからないんだけど、どんな感じかなぁ？アーティストにもよるだろうけど」

「うーん、私が行ってるコンサートは20〜30代が多くて私が最年長くらいな感じだけど、最初に登場したら『きゃーーーーっ！！』っていう大声援が飛ぶよ」

「きゃーーーーって言うの？トミコも？」

「う、うん一応」

「きゃーっていう発声ってドラマとかアニメとかの世界でしか聞かない気がするんだけど、きゃーって言う？『キャ』で始まる発声ってちょっと気合い入れて意識しないと出てこなくない？」

と問い詰める私。

「まあ確かに」

「私、この前ラーメン屋でゴキブリが出てきた時にも『きゃー』じゃなくて『うぉっ』くらいだったよ」

「いや、Gとアイドル一緒にするな」

「それは申し訳ございませんそれで、コンサート中は立つのかなぁ」

「うん。みんな立つから立ってる」

「疲れない？」

「疲れるけど客層若いからみんな元気なんだよ」

「そっかぁ。でもジュリーのファン層って上の世代の人たちだよねぇ。どうなんだろ」

「いや、私達のすぐ上の世代ってバブル世代じゃん。時代も味方につけた元気な人達だよ。私らロスジェネとはパワーが違うと思う」

「確かにめちゃくちゃ元気そうだ。空気読んで立ち上がるようにするよ」

「そういえばトミコちょっといい双眼鏡買ったって言ってたじゃん。今回すごく後ろの方の席なんだけど双眼鏡持ってったほうがいいかな？トミコが買ったのっていいやつなんだよね。4万とか5万くらい？」

「安いのなら数千円からあるけど私が買ったのは8万円くらい」

「はっっっっちまん！？」

双眼鏡の相場なんて知らなかったけど、そんなにするんだ。トミコが言うにはみんな同じレベルの物を持っているらしい。防振タイプとか。中にはもっと高級なのを持っている人もいるみたい。すごーい、すごーい。

以前にラグビーを見に行った時に無料で簡易型のオペラグラスをいただいて使ってみたけど全然見えなかったことを思い出した。無料のボール紙組み立てただけのならそうだよなぁと今さらながらに納得。

まあジュリーのお顔を拝見したいというよりは歌声を楽しみたいだけだから双眼鏡はなくていいや。すっごくハマっちゃったら考えよう。いやーでも8万は無理だ。

何もかもが美味しくてもりもり食べた

あとでネットで検索したら、ジュリーファンのタブーがいくつかあって、双眼鏡もタブーだった。知らずに買っちゃわなくてよかったぁ。

イマイチ身の処し方がわからないけれど、名古屋公演を楽しんできたいと思う。

啓示が突然降りてきて