昨日に引き続き、藤子・F・不二雄先生のSF(すこしふしぎ)短編作です。


地球から遠く離れた星、ラグラング。

地球から宇宙へと広がりを見せた人類の基地として栄えたこの星はその役目を終えようとしていた。

多くの人は去り、あとは最終便の宇宙船が旅立つのを待つだけ。

そんな時、長い間鳴ることのなかった未確認物体接近のサイレンがとどろく。

舞い降りてきたのは遙か昔の地球型の宇宙船だった。


そんな感じではじまる物語です。

人類の繁栄は頂点を超え、収束に向かっている時代にやってきた夢を胸に宇宙に飛び出していった宇宙飛行士。

その対比や、衰退する文明に寂寥感、失われることのない夢などを見事に描いた作品になっていると思います。

また作中に使われている古きアメリカ民謡が良い雰囲気を醸し出して、この作品をドラマチックに盛り上げます。


描いている世界のスケールの大きさ、そのテーマの深さ、そしてそんな中に見つける希望。

まさに完成度の高い素晴らしい作品!

できることならば、ハリウッドあたりで短編映画として作ってほしくなるような出来栄えだと思います。


私はこの作品を呼んだ後、感動に打ち震えました。

是非読んでいただきたい作品のひとつです。


この作品は「藤子・F・不二雄大全集(少年SF短編2)」に収録されています。