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愛を捨てた男、愛を拾った男。

好きと嫌いを上手に
使い分けて
今とこれからを生きて行く男。
【誰も信じる事なく自分だけの感覚で全ての分別を】
そんなTシャツを着て歩く晴れた日曜日。
すれ違う人々全てに
心からの舌打ちをプレゼント。
『どいつもこいつも上辺だけの幸せをポケットに入れて
ヘラヘラと30点程度の異性に無駄な時間と金を使ってやがる』
汚ねえ笑顔と汚ねえ金が飛び交うこの街に
後どれくらいいられるだろう
「やばい」と思った時にはもう遅いのだろう
だからこうして休日には街へ出て
目に映るモノ全てを否定していなければ
自分が保てないのだ
それは分かっている
この街から出る勇気も度胸も無い
きっと少しの希望を持って
何かを探しているのだろう
この街に来て3年
今の所何も見つかっていない
「ブ・ブ・ブ・ブブブ・・・」
きっと月に一度の母親からの電話だ
いつもと同じ内容の会話に
「ハイ」としか答えない俺
それでも毎回同じ内容で同じタイミングで
電話をかけてくる
電話を切ると「はぁぁ~・・・」と
やや深めの溜息が無意識に出てしまう
そこに安心感がある事はその時は誰しも
気付かないもの
なんだか今日はいつものように毒が口から出てこない
こんな日は早めに帰った方が良いのだろうと
ここ最近わかった
自分で創った誰にも見せる事も
聞かせる事も無い
詩を口ずさみながら
家路へと急いだ
途中コンビニに入ると「愛」を歌う雑音が
雑に耳に入りこもうとする
耳を塞いだ指と指の隙間から
現実が遠のいてゆく
特に買うモノもなかったので
早々にコンビニを出た
「すいません!」
と後ろから店員の声が俺の鼓膜を刺激した
「・・・・?」
無言で振り向く俺に店員は
「いい歳して万引きは・・・ちょっと・・・ねぇ?」
「ちょっとこちらに来てもらえますか」
と強めに俺の袖を引っ張った
身におぼえがない俺は
腕を自分の方にグイっと引き寄せ
「あんたさっきから何を言ってるんだ?」
「俺は万引きなんかしてないし言い掛かりは勘弁してくれ」
と冷静に言った
「・・・」
「じゃあ是何すか?」
と俺のポケットと言うポケットから
大量のお菓子が溢れんばかりに出て来た
記憶にない
きっとあの雑音から逃れる事に必死だった俺は
無意識の内にポケットに詰め込んでいたのか
「すまん、これは違うんだ」
「無意識と言うか・・・」
「ポケットに入っていたモノは返す」
「だから今回は許してくれ!」
久々に必死になっている自分に少し驚きながら
俺は店員にお菓子を渡し続けた
「ふぅ~・・・」
店員が溜息をつくと
「あんたこの間も同じ事言ってたよ」
「今日で二回目、もう駄目でしょ」
二回目?
俺はこの店で前にも万引きをしたと言うのか
そんな記憶はこれっぽちも無い
こいつが嘘を付いているのか
そんな訳はない
まず自分を疑え
そして思い出すんだ・・・
ドンッ!
と言う鈍い音と共に倒れる店員
俺は走った
人生で一番のダッシュ
店員を押し倒してお菓子をばらまき
走った
自分は自分の居ない所で何をしているのか
それは本当に自分なのか
現実に残るポケットに一つ残った
チョコレート
俺は泣きながら
そいつをもさぼり喰い
走った

この街を出る理由にしては少しダサ過ぎるけど
このまま何処かへ行ってしまいたい気分だ

全てを否定していた俺は
何処かで俺を見ていてほしかったのだろうか
探していたのでは無く
探してほしかったのだろうか
「誰か・・・」
「誰かぁー!」
「俺は此処にいるんだよ!」
「俺は・・・」
「俺は・・・此処に・・・」
「此処にいるよ・・・」
ドラマだったらここらへんで誰か現れて
「どうしたの?」
なんて声かけてくれんだろうな
現実はそうではない
こんなオッサンがチョコレートまみれで
道ばたで危ない事叫んでたらそりゃ引く訳で
ここでもまた何かを期待してしまっている自分
存在価値を誰かに見出してほしい自分

俺はトボトボとコンビニの方に足を向けていた
全てリセットしなければ
そうしないと本当に俺は駄目になってしまう
コンビニの近くまで戻ると
パトカーと救急車が止まっている
ドキっとした俺は影に隠れ
少し様子を見ていた
さっきの店員がタンカーで運ばれて行く
警察が周りの人々に何があったのか聞いている
偶然にも目撃者はいないようだ
何故か安心した俺はノコノコとコンビニの方に向かった
「キミ、何かみたの?」
俺は目撃者のフリをして
淡々と嘘8割の目撃情報を警察に話した
後ろの方から聞こえてくる会話に耳を傾けると
a「あの店員やばいでしょ」
b「うん、たぶん助からないんじゃない」
c「打ち所がね・・・」
d「意識無かったみたいだし」
e「ヒドい事するヤツがいるもんだね」
f「この辺りも物騒になったもんだ」
俺はゾっとした
死んだのか?
まさかあの程度で死なないだろう
・・・・・
大丈夫大丈夫・・・
大丈夫大丈夫・・・
・・・・・
「キミどうしたの?」
「聞いてる?」
警察の声に俺は我にかえり
「あ、はいもう何もありません」
「キミ大丈夫?顔色悪いよ?」
「大丈夫です」
とその場を逃げるように去ろうとした時
「ちょっとちょっと」
「最後にキミの連絡先聞いてもいいかな?」
動揺した俺はタバコに火を付けて
少しの沈黙の後
「あ、はいはい」
と名前と携帯番号を書いてその場を去った
早足で家へと向かう
教えた名前と電話番号は俺のモノじゃない
地元で唯一仲の良いヤツのだ
正確には仲良かったと過去形になるのか
俺が地元を出てから一度も会っていない
アイツも地元を出るとは言っていたが
今は何をしているのかわからない
会った所であんなヤツと話す事など無いのだが
まあその話しは今やめておこう
とりあえず今日は眠ろう
早く眠ろう
布団が優しく愛撫してくれる
早く潜ろう
そうすれば全て終わっている
悪い夢かもしれない
起きたら全てリセットされてる
眠ろう
眠ろう
今夜は睡眠薬無しでも
なんだかグッスリ眠れそうだ
そうグッスリと
眠るのだ。

腐敗親和

生まれた瞬間に終わる事を約束されて
時間潰しと言う永遠なる過程を
嘘の笑顔で一秒一秒重ねてゆく
飽きない為の手段を
うまく利用して
一日一日を何事もなかったの如く
消化してゆく
今の事もわからないのに
明日の事なんてわかりっこない
それでも明日を約束してゆく
二本足で立っている事の違和感に
明日は気付くのだろうか
もう何年もこうしている
疲労は隠せても
蓄積された嘘は人を歪める
斜めに世の中を観て来て
人とは違う
「自分は特別だ」って
そんな思いはもう土の中で腐敗を進めている
腐った僕は
月に向かって泣いているのだろう

kingyo 新メニュー

本日6月6日から新メニュー

ほうれん草とベーコンのキッシュ ¥700

ベイクドチーズケーキ      ¥600

どちらも手作りなので大変美味しいです。
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