創作◆あなたと始める物語は。19★《ダーリンは芸能人》二次創作 | 二次元のカレに逃避中♪

二次元のカレに逃避中♪

主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
※他サイトにて夢小説展開中

注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。19

〜 next stage ~

《ダーリンは芸能人》二次創作





「『お前とは終わりにしたい。 お前より大切にしたい女か出来たんだ』、愛優香」

「!」


冷たい表情と冷たい視線を向けられてセリフの最後に言われたのは役の名前でなく私の名前。

私が感情移入できるようにワザとそうしたのだろう。

―――オドオドとしながらも冷たい目を向けたヒロユキ。

アケミがヒロユキの子を妊娠したと告白された時には、気の迷いだったと言いながらももう私への気持ちがなくなっていたことが明らかで。

あの姿が眼の前の京介くんと重なり、あの時の気持ちが蘇ってきて…。


「なに? 言いたいことがあるなら言えば?」

「……なんで…? 私の何がいけなかったの? ねぇ、教えて」

「仕事ばっかで俺を蔑ろにしてただろ。 そんなお前が嫌になったんだよ」

「あなたのお父様たちに認めてもらおうと仕事を頑張ってただけじゃない!!
 こんなの非道い…非道すぎる……!!」


あの時曝け出せなかった感情を露わにして、ヒロユキの幻影を纏った京介くんに縋り付く。


「あなたのお母様の言うように仕事を辞めればよかったの?! ねぇ?!」


それから肩を掴まれ乱暴に離されて…。


「『最初から合わなかったんだよ。 彼女の方がはるかにマシだ』」

「ッ!!」


―――"バシッ!"

彼の頬を叩く乾いた音が響く。

と同時に見物客から悲鳴があがり、誰かの「カット!」という声が聞こえた。

だけど私は肩で息をしながらまだ茫然としたままでいた。


「あーちゃん!」


亮太くんが駆け寄ってきて、バスタオルで私の頭を覆う。

側にいた京介くんも先ほどの冷たい声音をガラリと変えて、気遣うように私の名前を呼んだ。


「愛優香、大丈夫…?」

「あ…」


覆われたバスタオルの隙間から京介くんの心配そうな顔が見えた。

さっきまで確かにあの日のヒロユキの姿とリンクしていたのに、いまは全く違って、いつもの京介くんだった。

……でも、よく考えたらあの時アイツはただただ謝るだけだったっけ。

しかも全く誠意を感じられない、口先だけの謝罪。

それから、言い訳と責任転嫁。

だから急激に冷めて、だからこそ惨めな思いをしたくなくて、精一杯の虚勢を張って取り乱さずに別れを受け入れたんだった。

さっきの京介くんのセリフみたいに悪態をつかれてたら、あの時もっと取り乱したのかな?


「…うん、大丈夫。 ありがと…」

「落ち着くまで車に」


京介くんがそう言って私の背中に手を添え、歩くのを促した時、彼との間にチーフさんが割り入ってきた。

そして小さな声で彼らに言う。


「京介と亮太は自分のマネージャーと一緒にスタッフたちに挨拶をしてきなさい」

「え、でも」

「いいから!
 …愛優香さんのこと、探られるわけにはいかないでしょう」

「!」

「愛優香さん、行きましょう」


チーフさんが私の肩をポンポンと叩き、歩くのを促した。

確かにここに留まっているわけにはいかないよね。

…そして、そのエスコート役に彼らを使うのはよろしくない、と。

まぁ、当然よね。

彼らは国民的アイドル Wave 。

公衆の面前で特定の女性を特別扱いするわけにはいかない。

そう思って一緒に歩いていくと、その進行方向にスタッフの中でも少し偉そうな男性が居て、チーフさんに声を掛けた。


「飯田橋さん、ありがとうな。
 いやホント、どうなることかと思ってたんだけど。 上手くいってよかったよ」

「私もこの世界は長いですけども。 今回みたいなこと、初めてですよ。
 …今後、あの事務所とのお付き合いは考えないとですね」

「うむむ…」

「では、私たちは次がありますので。
 ありがとうございました」


チーフさんがその人に頭を下げるから同じように会釈する。

そして私は彼女に促されるままに歩いていくのだった。


〜 to be continued 〜