注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。
2014/11
南の島にて with 三池亮太⑩
~ Southern Island's requiem ~
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《ダーリンは芸能人》二次創作短編
◆◇◆◇◆◇◆
「気を付けていってらっしゃい」
そう彼女は言うが、あの日以来、義人に何となく違和感を覚えていた京介は、少し離れたところから海尋が義人たちの部屋のドアをノックしているのを見ていた。
が、ドアが開いたかと思えば得体のしれないモノが海尋を包み込む。
それが彼女を部屋に引き込んだかと思うと、強風で呷られたかのように部屋のドアが突然閉まった。
「ちょ、おい、義人!!」
急いでそのドアに駆け寄り、開けようとするもビクともしない。
「義人! 一磨! 開けろって!!」
何度もドアを叩くが、全く反応もなく、それどころか海尋の悲鳴が微かに聞こえてくる。
と、そこに。
「一体何だったんだ…」
一磨が首を傾げながら反対方向からやってきた。
「一磨?!」
「え、京介? 何してる―――」
「海尋ちゃんが!」
「海尋ちゃん?」
「義人に部屋に引き摺りこまれて……!」
「は?」
「てか、お前、どこに行ってたんだよ! 部屋に居たんじゃなかったのか!?」
「いや、フロントに呼び出されたから向かったんだけど誰もいなくて―――」
「とにかく、尋常じゃないことが起きてる。
---義人! 開けろ!!」
一磨と京介が義人を呼びながら部屋のドアを何度も叩いていると、今度は血相を変えた亮太が別の部屋から出てくる。
「―――ちょっと、どういうことだよ?!」
「亮太!?」
「え?
あ、京介と一磨?? 何してんの?」
二人がドアの前にいることに面食らった様子の亮太。
二人の声が聞こえて部屋から出てきたかと思ったのだがどうやら違うようだ。
「何してんのってお前…」
「あ! それどころじゃない!!
海尋のトコ!」
「「え?」」
「信じられないかもしれないけど、女の霊が『彼女を助けてあげて』って俺の目の前に現れて……!」
「「!」」
走り出そうとする亮太の腕を掴み、京介は叫ぶ。
「海尋ちゃん、ココにいる!」
「は!?」
京介が自分の見た状況を説明すると、亮太の顔がさらに青ざめた。
「呼んでも出てこないし、鍵も閉められたみたいで」
「……海尋!」
「マスターキー借りてくる」
一磨がそう言ってフロントに向かおうとしたその時だった。
白い靄のようなものが漂ってきたかと思うと、それは段々と濃淡を作り、やがてヒトの形になった。
そしてそれがドアに向かって指さしをすると、『バン!』という音のあと、鍵が開く音がして―――。
◆◇◆◇◆◇◆
〜 to be continued 〜