第二回国試を受けた方から、お知らせをいただきました。

その方の所感としては、

難易度は昨年と変わらず、むしろ解きやすかった、とのこと。

一般的内容(糖尿病関連知識など)が出たとのことです。

 

「医学」領域での「難病・慢性疾患への支援」は、

河合隼雄さんが生前糖尿病関連の学会によく招かれてられたし、

京大教育学部の皆藤さんが近年、

アーサー・クラインマン(医療人類学者・精神科医)を招聘して

合同シンポをしたりしておられます。

「ケア」を臨床心理学の立場から再考・再興したいとの動きでしょう。

 

ただ、鷲田清一さんらが純粋(というより権威的・慣習的)な学術分野

から挑戦したことさえ、未だ果たせているとは言えないのです。

 

それは、つまり、〈ケア〉の現場と学術をつなぐということ。

 

その大きなかなめ(結節点)であった心理臨床の重鎮がこの世を去ったのち、

.....の今現在、心理臨床の凋落の兆しが忍び寄ってきています。

 

頭でっかちだったわたくしに、臨床実践のイロハを教えてくださった

恩師井上亮さん(...その師である河合さんよりも先に逝ってしまわれた...)が

予言されていた、

 

「もし河合先生が亡くなったら、群雄割拠の末、心理臨床の学界は衰退する」

 

これが、今現実となっています。

 

一般社団法人心理臨床学会の退会者が、直近の機関誌(37-2)によると、

2019年3月1日から4月30日の、期末を挟む2ヶ月間で、894人です。

 

同時期は、大学院新入生が加入する年間最多時期です。

この時期での入会者が312人なのに、です。

 

休会者(迷いがあるんだなあ...)も172人(復会者は19人)。

 

...明らかに臨床心理士の団体の勢力は減退しています。

 

この凋落の動きは、身近なところにもひしひしと迫っています。

地元の県臨床心理士会事務局が長年置かれていたK大学が

臨床心理学の学科を廃止することとなり、

それに伴って事務局が大学から追い出しを通告されました。

その煽りで、会員の年会費が倍になる😓との通達が届きました。

 

しかし、いまここでふんばらないと、ダメだと思うのです。

 

まことに「臨床」の底力を熟知していて、

それが喪われていくのを心から惜しみ、

「臨床」の真髄を後継者に引き継いでいきたいと願う人たちが、

この淘汰の嵐の中で、生き残っていかねばならない。

 

そして、これまでのように「数」ではなく、

〈実りある「質」〉として、

臨床心理を存続させていけるはずだと、わたくしは考えています。

 

  🐈

 

今年度国試に、糖尿病(難病・慢性疾患)関連の問題などが出たこと。

これはね、

河合先生のお弟子さんたちが結構頑張った感じかなと思えます。

 

国試の傾向は、ことに試用期間中(つまり現任者モラトリアムの間)は、

年ごとに揺り返しがあると現任者講習会でも伝えてきたのですが、

今回の方向性が今後当面維持されるなら、

サイコオンコロジーのチーム医療などに留意しておいたほうがいいかも。

 

合格発表は9月中旬。

公認心理師を受かった人の中で臨床心理士も受けられる単位を持っている人は、

ぜひ、臨床心理士取得にもチャレンジしてください。

 

今後、公認心理師を基礎資格として、

団体認定専門資格として生き残る方向性を選ぶことが有望だ

と、わたくしは考えています。

 

いま臨床心理士取得ブームが下火になっているときにこそ、

しっかりと2つの資格をとっておくべきです。

 

地位的には国家資格者、

事実上は、〈まことの実力がある臨床心理士〉として、

医師と相互に対等な意見を尊重し合えるスタンスに立つことを

目指せばよいと思うのです。

 

              🐈

 

しばらく、ブログを休んでおりましたが、

これからポツポツと、プチ再開して、

もう世間では忘れられかけている物語分析など、

「臨床」のおもしろさを少しずつ伝えていきたいな、

と思っています。