厚労省の、公認心理師現任者講習会指定団体サイトに、つい先日、一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会がアップされました。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000180916.html

 

200人定員ということもあって、3月19日受付開始後、たちまち完売。

この一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会とは、

どのような団体なのでしょう。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000180916.html

 

このサイトの説明によりますと...

この協議会は、次の7つの団体が、ガイダンスカウンセラーの認定と研鑽をめざして活動しています。その目的は、学校現場の抱える問題を解決するために、チーム学校の一翼を担う新しい人材をスクールカウンセラーとして送ることです。
日本学校心理士会;日本学校教育相談学会;日本キャリア教育学会;NPO日本教育カウンセラー協会;日本教育カウンセリング学会;一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構日本臨床発達心理士会;日本カウンセリング学会;

 

「ガイダンスカウンセラーの認定と研修」活動をする団体でした。

そして、その目的は、ガイダンスカウンセラーをスクールカウンセラーとして、

学校現場に送り込むことのようです。

 

じゃ、「ガイダンスカウンセラー」と、公認心理師との関係って、

どうなっているのでしょうか。

スクールカウンセラーと言えば、臨床心理士、というのが、

文化庁長官も務められた河合隼雄さんと文科省との篤い関係もあいまって、

かなりよく認知されていると思います。

 

でも、地域によっては、スクールカウンセラーの任用は、

臨床心理士よりも同じ民間資格の「教育カウンセラー」が、

より多く採用されているところもあります。

 

教育カウンセラー資格には等級が設けられているのですが、

その上級資格同等と、ガイダンスカウンセラーは見なされているように思います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ガイダンスカウンセラー

http://jsca.guide/index.php?ガイダンスカウンセラー資格認定規程

 

ガイダンスカウンセラーという資格は、にゃんら臨床心理士にとっては、

少し耳慣れない名称ではないでしょうか。

臨床心理士資格認定協会は、文科省認可の財団法人です。

その文科省が、「臨床心理士だけでは、頼りない」からと、

ガイダンスカウンセラーを学校現場への導入を積極的に検討しています。

 

これは、一昨年(2016年)1月22日の文科省「教育相談等に関する調査研究協力者会議」の議事要旨です。↓

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/120/gijiroku/1372383.htm

 

この中から、ガイダンスカウンセラーに関する質疑を抜き出してみましょう。

【委員】  不登校、中途退学というのは非常に大きな課題であるが、進路未決定で卒業してしまう生徒に対する対応も非常に大きな課題となっている。進路を決定させるために、カウンセラーの役目として何かあれば教えてほしい。

【発表者】  日本の場合、進路指導はほかと分けてしまっており、SCの議論において、キャリア達成については含まれない部分がある。
アメリカのSCは、ガイダンスカリキュラムという、簡単に言えば授業型の生徒指導が必須で、養成課程でも必須となっている。その中で特にキャリア、進路に関して、キャリアカウンセリングとかキャリアガイダンスの教育を受けている。
実際には、キャリアカウンセリング抜きの教育相談というのは学校現場ではないと思う。SCの守備範囲の中に、キャリア意識とか進路に関わること、キャリアカウンセリング、キャリアガイダンスをどのように組み込んでいくかがポイントであると思う。

【委員】  ガイダンスカウンセラーについて、構成団体が現在6つあり、それぞれが認定し、ガイダンスカウンセラーという形でステージを上げていく形であると思う。今後、公認心理師プラス専門のライセンスを乗せるなどの資格団体としてのビジョンがあれば、教えてほしい。

【発表者】  公認心理師は、例えば教育、福祉、心理など総合的な汎用資格のため、公認心理師の方をSCに採用する場合、本当にできるのかという話になる。そのため、汎用資格、プラスアルファの専門的なライセンスをもう一つ持っている方がスムーズであると考えている。公認心理師が得意とする分野を担保する専門的なライセンスを持っておかなければ、実務的には難しいと思う。
ただし、特に教員に関しては、ガイダンスカウンセラーのような、教育ベースの知識やスキルを持った人がいいと思う。

 

どうでしょう。これは、臨床心理士にとって、重大な事態じゃないでしょうか。

 

公認心理師法制化によって、学校現場には、多彩な経験を持つスクールカウンセラーが参入する可能性があると言われています。

 

今後、スクールカウンセラーの任用条件として、

国家が認証する「公認心理師資格」が求められることとなるのは、必然です。

 

そこで、

本年から5年間の現任者救済特例で資格取得した広汎な分野の人たちが、

学校現場に入って来る余地が生じるのも、必然。

 

臨床心理士を取ったら、まずはスクールカウンセラーを腰掛けに...、

といった臨床心理士蜜月時代は、公認心理師法制化により、終わりを迎えます。

 

そして、医療心理師推進団体に呑み込まれた臨床心理士推進団体にとっての

最大のライヴァル、教育系の民間資格認定団体、そしてまた、

産業系の産業カウンセラー資格認定団体のキャリアカウンセラーなどが、

スクールカウンセリング・パイの取り分を求めて、今後、

つぎつぎと浮上してくることでしょう。

 

学校現場に現在勤務している臨床心理士の多くは、

この重大な事態に、まだ、気づいていないのではないでしょうか?