高木俊介さん講演会  ( 公開シンポジウム基調講演 )

個、家族、社会、世界:まだ見ぬ実践のためのダイアローグ

https://taikai2017.jimdo.com/高木俊介さん講演会-公開シンポジウム基調講演/

 

《講演要旨》

 現代社会は、消費資本主義とグローバル経済の影響を生身の個人がもろに受けながら、人類の「共生」への夢と「排除」という熱狂が争っている時代である。
 そのような時代に、病や障害の対人支援を行おうとする者が目ざすのは、個別には原理的に対等である援助関係であり、全体としては病や障害を包摂し共生する社会である。おそらく今後半世紀は続くであろう、福祉的国民国家の機能喪失と、憎悪の連鎖が私たちの日常生活を直接に脅かす現在の世界で、10年20年先の精神医療・保健・福祉分野のパースペクティブを得るための思想が必要とされている。
 生命体としての身体と心、<個>、その個と濃密な関係を結ぶ家族や親密圏、<家族>、それを組織し同時に対立する<社会>、そのすべてを取り巻くコスモス、<世界>がある。私たちは、これらの相互作用と反作用の力場の中で援助関係をつくる。
 だが、現代社会はこの4象限のそれそれを細分化・複雑化し、痩せ細らせている。私たちの生からそれらを略奪する。それを再獲得し、再拡張しなくてはならない。そのために、そのそれぞれの有り様と互いの関係を横軸(空間の再獲得・再拡張)とし、原始共同態から市民社会、そして市民的共同体へと至る人間集団の展開を縦軸(時間の再獲得・再拡張)として考察し、最終的につながりあい循環する全体をイメージすることが、私たちの日々の実践のために、あるいはまだ見ることのない新たな実践のための課題である。
 そして、そのつながりあい循環する全体の中の私たちであるために、いま必要なのはダイアローグを果てしなく続けることであろう。
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高木俊介さん:ACT-K主宰
ACT( assertive community treatment :包括型地域生活支援プログラム)は、精神科病院への頻回入院や長期入院を余儀なくされていた人々が、退院後に地域で安心して暮らしていけるよう、医療と福祉の恊働支援を行う仕組みです。
ACT-K(京都)は、京都市内で、「たかぎクリニック」,「ねこのて訪問看護ステーション」.「NPO 法人京都メンタルケア・アクション」の連携によりACTの活動を行っています。

 

Facebookのイベント頁です。

https://www.facebook.com/events/2256101257948577/?acontext=%7B%22ref%22%3A%22106%22%2C%22action_history%22%3A%22null%22%7D

 

🌿この講演会とシンポジウムは、わたくしたちが昨年の初秋に立案し、苦しい裁判での抗戦の中で、地道に準備を進めてきたものでした。4月7日にわたくしたち側が敗訴した後、勝った相手側の「おえらいさん」から、高木さんと、シンポジウムの登壇をお願いしていた門さんに、電話があったとのことです。「貴方に出講を依頼した団体は、裁判で負けたので、団体名称を名乗れません。」等々と言われたそうです。この電話を受けた高木さんは、「いつもは自分の講演の宣伝はしないのだが、」と、ご自分のFacebookにわたくしたちの大会ホームページを転載してくださいました。

 予断なく公平にものごとを判断頂ける方が必ずいらっしゃることを信じ、ここ6年の間、学会内部へと発信しつづけてきた結果、このような形での敗北となりました。

 高木さんの見識と揺らぎない姿勢に励まされ、これからも頑張っていきたいです。