演劇女子部「ネガポジポジ」見た。あまり見に行く時間が取れなくて、行けたのはBチーム1回Cチーム2回の合計3回。うち2回は夜勤明け……。お話として楽しかったというのはもちろんとして、チームごとの違いを見比べたり、ドルヲタ的な視点でのエモさを感じるためにもう3回くらい(Aチーム2回、Bチームもう1回)見れたらよかったなあ。
ゲキハロの「江戸から着信」からBerryz工房、須藤茉麻さんの出てる舞台はだいたい見てるけど、今回みたいな舞台はハロプロでは珍しくて楽しかった。
舞台セットをほとんど組まないで、高低差をつけられるのが可動式の台と、椅子、コタツくらい。それも出演者とかアンサンブルの黒子が動かす形っていうのもハローでは見たことなかったし、黒子がちょこちょこ動くようなのもハロプロではたぶん初めて見た。
ゲキハロでも演劇女子部でもダブルキャストの公演はあったけど、チームによって印象がぜんぜん違うのが新鮮だった。
(以下ネタバレとかあり。といちおう書いておく)
ディスコとか喫茶店の様子がちょっと挟まるけど、基本的には場所は変わらず、セットのちょっとした移動で場面転換とかいろいろ切り替えてたのも見応えあった。移動式の階段(?)の空洞と大きな渦巻き状のセットを使ってコタツの中を表現してたのはビックリしたし、なるほど!と思った。こたつの温かいところは格子のイメージあったけど、渦巻きなのも意味があったりするのかもしれないし、盛りそばじゃなくてざる蕎麦なのとかもきになるところ。
やたらフィーチャーされる蕎麦は、由美の救いの蜘蛛の糸になぞらえてるのかなんなのか。ただの好みの対比かと思いきや、由美の「噛み応えのある麺がいい」っていうセリフにも違った意味が出てくるし、そうだとすると蕎麦アレルギーとか不幸な結末しか招かないのが想像できて怖い。一方で、4人が食べたい天ぷらの「エビ」「かき揚げ」「イモ」みたいなキャラ付けとかは安心して笑える。
姉妹の母親・和子があまりに自然な感じで話してるから、3回目を前の方で見るまで気づかなかったけど「りさと由美の話の裏側で進む再婚へのロマンス」みたいな何かじゃなくて、金とか荒事(家燃やし)で解決しようとする悪徳不動産を変な天然の勘違いで回避し続ける話が裏側にあったんじゃないかとか。
離れたところから経過を見届けるだけで、事実とか裏側は想像するしかないみたいな視点にいるのは、想像の余地があることの醍醐味でもあるしもどかしさとかも含めていち観客=ドルヲタとして楽しい。
4姉妹の色分けもすごくて、酸いも甘いもバブル時代を謳歌する長女というのはまあ時代背景の象徴的なものとしても、周りの人とかテレビにすぐ影響されるミーハーで自分のやりたいことも自信もない次女、周りと違ったことをするという意識が強いのかアーティスト志向のフリーターという茨の道に進む三女、マイペースでしっかりものの四女(純情な同級生男子・川上君の心を翻弄する)。という感じで、妙に生々しい。
母親の和子も、やたらポジティブで面白い人なのにすごく自然にしてるから、本当にりさと由美の影で育まれる再婚に向けての話が裏で展開してたのかと思ったらそういうわけではなさそうだし。由美も抱えてる闇がやたら深そうだし。
5年くらいの間に時代も大きく変わっていて、ハッピーエンドかというと、決してそうでもないけど、取り敢えず年は越せるみたいな。悲喜こもごも、三歩進んで二歩下がるようなところだったり、いろんなものが詰め込まれてて、大団円っぽいカタルシスはしっかりあるけど、コタツの中くらい小さな出来事のようでもあって。そんな感じの話がコメディとして演じられてるとかすごい。
正直、最初に見たときは(11/10 Cチーム)、次女りさとその友人・由美の関係の変化が軸にあるんだなあっていうことと、突然の没落とか親の都合での転校やらなんやらを描くのにバブル期を持ってきたんだなあくらいの感じでしか思ってなかった。
だけど、最後に前のほうの席で見たとき(11/20 Cチーム)に由美が持ってた布に書いてある×印とか地図っぽい感じとかがなんとなく見えたり、不動産屋だとか、母親のところに札束を持ってアプローチかけてきたとかそういうのを改めて思い返したら、かなり悪どい地上げとか買収とか裏にあるのかな?(そして、最終的に「たぬき」を食ってしまう!)と思い至ってからは、かなりすごい話が裏にありそうで、どこかで解説とかネタバラシとか見聞きできたらいいな。
以下、主役と演者で印象に残ったことのメモ。
由美
りさのセリフで「金持ちだけど家族と一緒にすごせない寂しい子」みたいな感じに誘導されたせいもあって、天ぷらを揚げると嘘をついて火をつけようとするような闇を抱えた子なのかなと思ったら、たぶんいろいろわかった上で焼こうとしてるんだろうと思う。そう考えると「父もいい家だって言ってます」とか「コタツの中では蜘蛛の糸がたくさん見えた」とかすごく意味深(カンダタ唯一の善行は「殺さないでくれ」という蜘蛛を見逃してやったこととかそのレベルだと考えると、この子どんな悪どいことしてきたのか不安になる)で、「りさちゃんは私の表面しか見てない」っていう言葉も違った切実さがある。
最初に見たのがCチームだったこともあって、浅倉樹々さんの印象が強い。浅倉さんは前の「サンクユーベリーベリー」で合唱の世界のサラブレッド的な存在っていう設定のうえに、もともと菅谷梨沙子さんがやってた役というのもあって役に負けてた印象があったけど、今回はミュージカル風の歌に歌うところも歌謡曲風な歌パートもすごく堂々と由美だった。お嬢様感と優等生っぽさに加えて金持ち特有の無神経さと闇抱えてそうな感じとかがすごく良かった。見せちゃいけない内面を見てほしいところとか、それをふくめて受け入れてくれる相手がほしいとか、そんな(実際に周りにいたら面倒な)役で、お金はなくなったけどそんな相手が見つかったよっていう報われ方をしたんだろうなと思う。千秋楽での、たぶんアドリブだと思うけど「友達になってあげる」「そんな言い方するなら友達にならない」のやりとりとか、蕎麦屋のバイトに落ちぶれても残る金持ちの面倒そうなプライドとかが(どれくらいら意図してたかはわからないけど)失われてない感じがあったし、カタルシスまでの焦らしとしても最高だった。
小野瑞穂さんはBチームを見たのは千秋楽だったこともあって、「相手が高瀬くるみだから言える言葉」みたいな部分もかなりあったように思えた。天真爛漫な感じが強くて、あんまり闇抱えてなさそうではあったかも。ただ、りさに対して親しみを持ってそうな空気を出していただけに最後に抱き合うシーンに仲の良い友達が再会したいい話みたいな良さはあった。
カーテンコールのコメントで「(同じ役を演じる人同士での意見交換とかアドバイスが)ぜんぜんできなかった」と涙ながらに言ってた時に後ろで浅倉さんが首を横に降ってたのとか素晴らしい光景でした。
りさ
4姉妹の次女で、由美の友達。一歩間違えればインドに自分探しの旅に出てそうなタイプの人の意見に流されてばかりな部分とか、卑屈さが強く出た役柄。ポジティブな母親と姉の裏で、周りに合わせて生きる感じの人生を歩んできたんだろうなあ。笑いのネタになってたけど、どうすれば由美が自分を認めてくれるか、三浪して大学に入れない(今と違って受験戦争と呼ばれてた時代というのはあるにしても、いろいろ不器用そうなところが想像できる)、就職活動を始めるもうまくいかないとか、ネガティブ方向に突き抜けた悲しい役。浪人生から引きこもりになったり、(それまでより比較的簡単に)インターネットができるwindows95を「世界の扉」と表現したり、調べたいこと=由美だったり、お話の流れ的に仕方ないにしても本当に空っぽすぎて心配になるレベル。どんどん内側に入った後で、久しぶりに家の外に出た!っていうカタルシスの裏側に、狂気に近い由美への執着心が感じられて怖い。あと、そんなりさをそのままに家のなかで育ててるお母さんとか姉妹ちょう優しいしポジティブ。テレホーダイに入らないでインターネットにハマって通信料ひどいことになったらどうなってしまうのか……。
最初に見たのがCチームだったこともあって、この役も小片リサさんのハマり役な印象が強い。前半のモノローグとかちょっとした振る舞いとか、由美との関係性とか、戸惑いとか卑屈な感じとかがわかりやすかった。コミカルに味付けしつつ抑えめな子なのかなと思わせておいて、落ちぶれた由美と再会したときのマイクを持っての掛け合いとか、クライマックスで叫びながらいろいろさらけ出していくところとかではすごく弾けてて、生き生きしてる感じがこの舞台でいちばん印象に残った。あと、小片さんの80年代風なメイク(すごく似合うし美人)姿が大企業の受付に居そう感すごい。
高瀬くるみさんは、演劇女子部のほかの舞台でも何度か見てて演技の上手い子というイメージで、それは今回も同じ。前半での細かな動きとか由美に貸す服を探すときにタンスが閉まらなかったときにとっさにアドリブで「閉まらない」ということを言ったり、最後のカーテンコールコールで「ネガポジポジ」というタイトルにかけたいいコメントをしたり、細かなところで機転が利いてすごい。千秋楽でアドリブ多めな回を見てしまったので(それはそれでもちろん目当てなんだけど)、ベーシックに演じてるほかの回も見ておけばよかったなあと思った。
未知
秋にシアターグリーンにくると、いつも劇団ゲキハロ旗揚げ公演「江戸から着信」を見に来た時のことを思い出す。当時よく一緒にいた友人は「10年後に芸能界にいるのは菅谷と嗣永、夏焼くらいだろう」みたいなことを言ってて、それに対して「茉麻も歌だと難しいかもしれないけど、滑舌がもうちょっとよくなれば芝居なら可能性ある」みたいなことを言っていた。それも、嗣永さんが来年で引退するという話が出た直後なので、こうして見続けられるのは本当にありがたいことだなあと思う。
未知はディスコとかアッシー君メッシー君とかイタ飯みたいな言葉を盛り込むのに必要なバブル期のイケイケなギャル。デカい携帯電話(江戸から着信から、やたらアンテナの伸びる携帯電話を使ってたコメディリリーフ的な役どころだったんだよなあ……)とかポケベルとかも懐かしい。わりと自然体な下の妹たちとは対照的に、ディスコでのハイテンションとか天ぷらへの執着とか、よしもと新喜劇の島田珠代くらい強めの色付けなのも手伝ってか存在感あった。キャラクター的な印象が強かった分だけ、母の和子にお金を借りれないか聞くシーンがどれくらいシリアスなのか見てて判断に迷うところもあったかも。男からお金を吸い上げてた人が男に騙されてるようにも見えるし、ちょっとおかしな桁の金額が簡単に動いて人を不幸にするっていう時代の負の部分を表してるようでもあるし、難しい場面だとは思うけど。
そういえば、大千秋楽カーテンコールでのコメントで「ついに母親役かと思ったらまだ長女で姉妹だった」って話してたけど、笑いを誘う感じのつかみで言っただけかもしれないというのはさておき正直なところ和子役は梨木智香さんが見事すぎてまだその域には達していないかもなあと思った。
いつかそういう役も見てみたいけど、基本的に自然体で動じなくて、笑いとシリアスを同じテンションで自由に行き来するような役はすごく難しそう。
もちろん、須藤さんのファンとしては歌も踊りもガッツリ参加して話の本筋とかディテールアップにもしっかり貢献してる役が久しぶりに演劇女子部で見れたというだけでかなり満足。
居間で争う由美とりさに激昂する場面がちょっと言葉が聞き取りにくい感じはあったけど、怒ってるときは勢い優先でバーッとまくし立てるほうがリアルといえばリアルか。
前の方で見たとき、左足にテーピングをしていたのが薄っすら見えたので、殺陣とかやらなくても身体を酷使するお仕事なんだなあと改めて思った。
最終公演のカーテンコールでは言葉だけじゃなくて、ほかの人が話しているのを聞いている表情とかからも、しっかりプレイングマネージャーしてたんだなというのが感じられた。たとえば、自分のコメントが終わった小野琴己さん(Cチームの三女)とか川村文乃さんが須藤さんに抱きついてたのとか。
あと、Bチームの千秋楽で、全員で手をつないで例する時、隣のアンサンブルの子(誰だったか失念)と手をつなぐまで少し間があったものの(みんな手をつないでるのは気付いてただろうから、たぶん研修生の子が遠慮してたか何か)、最終的にしっかり手を握ってたのとか、なんかやたらドラマチックだった。
