前回に引き続き、今回はセッティングの点でも思うことがありましたので、ご参考になればと思います。
・モニタリングはフラットな環境を目指してみる
図1

これはいつも自分が製作時にいる位置にマイクを立て、Ableton Liveで特定の周波数を下から上までスライドさせて、スペクトラムアナライザーで計測した私のモニタリング環境です。細かい方法は下記のYoutubeを参照してください。
では、このモニタリング環境をフラットにするためにすべき事を順を追っていきます。かなり、当たり前の事にも触れます。
まず、経験則ですが部屋が横長になるようにスピーカーを配置した方が良いです。そしてスピーカーの裏にも音が発生して壁と反射して低音が膨らむので、部屋のY軸の1/3に当たるところにスピーカーを置くと良いです。リスニングの位置はX軸の真ん中に来ると良いです。
図2

では、どこで生活すれば良いのでしょう?とお思いでしょう。私はスピーカーの後ろには十分距離をとりましたが、リスニングポイントは片方に寄ってます。これでもとてもマシになります。ただ、理想的なこのポジションで一度聴いてみることをオススメします。その後、部屋の模様替えをしてみましょう。
・モニタースピーカーのツイーターが耳の位置

次はモニタースピーカーのツイーターが耳の位置にくるようにしてください。低音の定位(左右、奥行き)はあまりなく、高域になるにつれ定位が大事になってきます。ちなみにディスプレイは一番上の部分が目の位置にくると首が疲れないです。
ここでモニタースタンドが必要かどうかですが、言えることは市販の一般的に使う机の上ならモニタースタンドのほうが良いでしょう。ただ、大抵のモニタースタンドはなんだか背が高いです。手頃で理想的な背の高さに調整できるので私はK&M / 26720を使ってます。
K&M ( ケーアンドエム ) / 26720 (http://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/129375/)
・スピーカーの調整
大抵のモニタースピーカーには背面にLow Shelf、High Shelt等、出音を調整する機能がついてます。ADAM A7Xの私の設定ではLow Shelf -6db、High Shelf -1.5db、Tweeter Level+1にしています。それで図1のようにしています。この辺はマイクを立て、スペアナで確認しながらやったり、好きなお手本にしたい音楽を聞いて調節すると良いでしょう。
・インシュレーターやスタビライザーを使ってみる
それでも音の分離が良くなかったり、低音がボヤボヤしたりする事もあります。インシュレーターやスタビライザーを試してみましょう。
図4

私はaudio-technicaのAT6098を使用しています。
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このインシュレーターの四角形の面積でもスピーカーの出音は変わります。極端な話、一番面積を小さく真ん中に4つのインシュレーターを並べ、その上にスピーカーを置くと、スピーカーは振動しやすくなります。逆に面積を広くするとスピーカーは安定していきます。
モニタースピーカーはなるべく安定した台の上を想定されていると思うので、インシュレーターの面積は広めが良いのではないかと思います。そして、インシュレーターを図4のように私はひし形にして置いています。これで分離がハッキリと良くなり驚きました。スピーカーの中心にあるユニットの縦軸の余分な振動が減ったのだろうと思います。是非、試してみてください。
もし、「インシュレーターよりRecoilのスタビライザーのほうがずっと良い 。絶対使うべきだ。」というご意見がありましたらお知らせください。興味はあります。
・部屋の吸音をしてみる。

これが一番敷居が高いかと思います。
私はディスプレイの後ろに音が溜まっているのが気になったので、そこの部分だけ吸音材を試しています。使用したのはMini-SONEXのものです。これだけでも中音域から高温域にかけて音が大分スッキリしました。少しばかり低音も気になったのでこの吸音材の下には来客用の畳んだお布団セットをカバーに入れて立てかけてます。気休めな気もします。
ただ、グラスウールの吸音材の場合はその素材が細かいガラスでできているので、この部屋の中に長時間いたり、ここで寝るといった場合は少し気になる点でありますので、ご注意ください。
低音は部屋の四隅で音を聞くとわかりますがそこからの乱反射で増幅します。低音があまりにモヤモヤする場合はBass Trapを使用してみると良いでしょう。しかし、価格も張りますし、壁に接着するというのは賃貸では難題です。なにか良い方法をご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示ください。
以上がセッティング編となります。これらがちゃんとしていると自分の環境ではモニターの音をより良くモニタリングできました。逆に、これらができていないと機材編では「高いものは良い」と書きましたが、持ち腐れてしまいます。今ある環境でもセッティングを良くすると「フラットな環境になぜしたいのか、分離とはそこまで大事なのか。」といったことも自分なりの回答が得られると思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
では。


