孫子の兵法(そんしのへいほう、ひょうほうとも読む)。


戦争を戦略的に見て解説した学問所は世界に沢山ありますが、

孫子の兵法ほど世界に知られた兵法書は他にないでしょう。

クラウゼヴィッツの「戦争論」も肩を並べて有名ではありますが、

1800年代にかかれた戦争論に対して

孫子の兵法は紀元前数百年前と極めて古くに書かれた書籍です。

(紙じゃなくて竹簡ですが!)




戦略という意味で

孫子の兵法はビジネスなど競争の原理が発生する場所に

広く応用ができると近年でも多くの本がありますが、

ここではあえてヘリ乗りが孫子の兵法を読んだらどうなるか

について考えてみます。



孫子の兵法には多くの格言があり、

その内のいくつかは広く一般に知られています。





【兵は拙速(せっそく)を聞く】 
作戦は素早く迅速に実行すべきという意味です。
孫子では、長期戦は国家の財政を揺るがしかねないという広い解釈がされていますが、
BF3のような短期戦であっても同じことが言えます。
同じ所の攻撃に力を注いでないで、取れない拠点は潔く諦めることも必要です。
ヘリの場合も同様です。
同じ拠点をヘリで攻撃し続けていても
地上軍が駆けつけて攻撃しなければ、旗など取れるものではありません。

つまり、ヘリにとっての解釈は2つあります。
1.ヘリはさっと動いてさっと攻撃して帰る。
じわじわ攻撃しても無駄。
2.取れそうな旗を援護する、
つまり地上軍が迅速に移動している先を確認して援護して
その行軍速度をできる限り維持できるようサポートしましょう。



 【少なければ逃れる】
孫子謀攻篇には次の言葉が記されています。
自軍が―
十倍の兵力なら包囲し、
五倍の兵力なら攻め、
二倍の兵力なら分断し、
互角なら戦い、
少なければ逃れ、
相手にならないようなら避ける。
つまりは、突撃ばっかりして無駄死にしないように、ということです。
勝てる敵を攻撃して、勝てない敵からは逃げる。
実際やってみると、なかなか難しいですね。



【彼を知り己を知れば百戦して殆うからず】 
孫子で最も有名な格言です。
相手と自分をよく分かっている人は
百戦しても負けることはない、ということです。
攻撃や防衛をするときは、なによりもまず相手を知る事です。
なんにでも当てはまる格言です。

ヘリに取ってはまことにその通りです。
ヘリの相手は歩兵だけでなく敵兵器であることが多いです。
兵器というのは操縦者のクセが大きく出るものなので
それぞれの操縦者のクセを観察するのを忘れてはなりません。
逆に言えば、誰にでも通用する必勝法というのはないのです。
戦場で見かけた例を上げれば・・・
・建物を影に出たり隠れたりして攻撃してくる戦車
・水路を移動したがる装甲車
・かならず2人以上の修理兵を釣れている車両
・低空で逃げることが多いヘリ・戦闘機
・垂直上昇で逃げることが多いヘリ・戦闘機
・パイロットの見ている方向を無視してこちらを攻撃してくる敵ヘリガンナー
彼らのクセによって戦う方法は変わりますね。



【奇を以(もっ)て勝つ】 
孫子には「戦いは、正を以って合し、奇を以って勝つ」とあります。
つまり、戦いは正攻法でもって対応しますが、
最終的に勝敗を分けるのは奇襲である、と言っています。

BF3でのゲーム進行がだらだらしがちだという時には思い出すといいでしょう。
注意してほしいのは、
この文が言っているのは奇襲=万能ということではありません。
奇襲というのはスキも多く現れる戦い方なので、
あくまで戦闘の基本は正攻法なのです。

ヘリの場合は空を飛んでいるわけですから、
奇襲しようとしても敵からみれば場所がバレやすいです。
ただ、そうだからこそ、意外な場所に登場するようにすればその効果は絶大です。



 【勢に求めて人に責(もと)めず】
一人一人の行動(能力の不足)を頼らないこと、
あるいは転じてその失敗を責めないこと。

(グループで遊んでる場合は得にね。)

戦略を考える人は、人材に頼ろうとはせず、
全体の勢いを利用することが重要だと言っています。
勢いがあれば多少能力が不足している部隊でも
最大限に戦うことができるという意味です。

勢いがあることが有利だというのは2つの理由があります。
1.戦力を時間的に集中できるという事と、
2.戦力を空間的に集中できるという事です。

電撃戦という言葉もあるように、この点をよく理解しましょう。
ヘリは他の部隊と連携することでかなりの貢献が期待できます。
実際のところはヘリは様々な方向から攻撃を受けるので、
連携をするような機会は少ないかもしれません。
いろいろヘリの戦略を書いていますが、
ヘリというのは妨害が多すぎて、
なかなか戦略というものを発揮するのが難しいです。
ワンゲームのうちにできる限り連携できる機会を増やしたいですね。



 【迂を以って直となす】
あえて迂回により敵よりも早く到着するという意味です。
歩兵にとってみれば「裏取り」とも取れる格言ですが、
ヘリの場合は少し違います。

ヘリは敵(特に、対ヘリを想定していないような歩兵)から
いかに見つからないように動くかが重要です。

そうでなければ、注意を引いてしまって、
味方の強襲部隊と連携している場合には
かえって自軍の動きを敵側に教えることにもつながりかねません。
したがって、ヘリは
「ヘリポートから離陸して直進して戦場に行く」
などということは意図しない限りやらないほうが望ましいです。
迅速に敵地に移動できるヘリだからこそ、迂回路を常に頭に描いているべきです。



 【囲師(いし)には必ず闕(か)き、窮寇(きゅうこう)には迫ることなかれ】
包囲したときには必ず逃げ道をつくり、
窮地に追い込んだ敵を更に追ってはならない
という意味です。
ついつい敵を完全に包囲しがちですが、
追い込まれた敵は何をするかわかりません。

逃げ道があれば敵はそちらに逃げるかもしれません。
つまり
・逃げ道を作る=戦場をコントロールできる
 ・囲ってしまう=戦場の主導権は実は敵にある(優勢なのはこちらですが)

追い込んだ結果、敵が思わぬ行動を取る可能性があるということは、
 場合によっては戦闘の主導権を握られ反撃される恐れがあります。
自分の思うように敵を誘導することこそ、主導権を維持する方法なのです。
したがって、
包囲している敵に「逃げ道」を発見したとしても
ヘリで回りこんで挟み撃ち攻撃しないほうがいいでしょう。
やるとしても短期間に効率的に行うべきです。



追い詰められた人は強行に走るし、

追い詰められた動物は必死で突進してくるし、

追い詰められたものは何をしでかすかわかりませんしね。





 【半ば渡らしめてこれを撃つは利なり】
渡河作戦に対する防御に関して、
敵が川を渡ってくる場合は、
渡っている最中の敵が身動きが取りにくいところを撃つのではなく、
半分渡りきったところを撃つという意味です。
特に川に限定する必要はなく、なんらかの障害物に当てても良いです。

ヘリで拡大解釈すればこうです、
「『対空兵器の準備ができていない状態の敵』をできるだけ多く作れ」
ということですね。
通常は敵というのは川をわたってこちら側に来て欲しくないですが、
川を渡っている最中の敵は、隠れる場所も少なく、
移動に専念していることが多いです。
こういう敵の戦力を「遊軍」と言います。

遊軍とは戦力に加わっていない、待機や移動をしているだけの兵のことで、
要するに弾を撃っていない敵のことです。

戦場ではいかに敵を遊軍状態にするかを考えましょう。
川を渡っている敵(かれらは遊軍である時間多い)を攻撃するより、
対岸か、あるいはこちらの岸に渡りきった歩兵を優先して攻撃すべきです。

そして川における対岸というのは敵の勢力下であることが多く
隠れる場所も確保され、対空兵器の準備が整っていることが多いです。
一方でこちら側の岸は、川を渡りきったばかりで十分隠れることができません。
そこであえて、敵の半数が川を渡ったところで攻撃を加えることで、
敵の対空兵器の攻撃の脅威を減らし、
また敵の遊軍を増加させ、
そして準備のできていない敵を有利な条件で攻撃することができるわけです。





「ヘリ乗りにとっての孫子の兵法」などと、

誰もやらなさそうな記事をかいてしまった・・・。