古きをたずね… の「温故」が抜け落ち、
「知新」のみに走ることがよきことなのか?
それとも古きにこだわる私がジジイに
なってきたのか…
「空の銀座通り」と揶揄されてきた沖縄・
東南アジア方面への大動脈だった国際
航空路「G581」の三宅島~宮古島間が
廃止されてしまったのは今年の初め。
今は「V71」とかいう国内航空路がその
位置に引かれている。
三宅島~沖永良部~那覇~宮古と続き、
日本の管制圏を出てからは台湾島の南端を
経て香港に至る有名なルートだった。
紀伊半島の沖合に「TAPOP」という位置
通報点があり、かつてはそこから伊豆大島の
NDBに向けてW22というルートが引かれていて、
その途上にも「SAKAK」という、これまた
有名なポイントがあった。
大型機の運行管理をさせてもらうように
なったころから、沖縄・東南アジア線の
ほとんどは、わが社を出ると「SAKAK
W28 TAPOP G581 ONC …」と経由して
飛んでいたので、いつしか私もルート上に
悪天候や火山の予報がなければほぼ
100%クルーにこのルートをアドバイス
するようになっていた。
だが、お上=JCAB(国土交通省航空局)
の方々はキレ者の集団ではあるのだが、
新しいものを導入すると、既存の思想や
システムを全て捨て去り、それに置き換え
たがる習性がおありのようで、今回のG581の
日本国内区間廃止も、RNAVという新しい
技術に飛びついた結果だろうと推測している。
RNAVやGPSがあるんだからとVORを
せっせと撤去している現在、こういった
既存の国際航空路まで撤去してしまったら、
いざシステムがダウンした際、日本の
管制圏内の円滑な交通流を確保する
だけの人材は揃えているのだろうか?
ノンレーダー下で管制できる管制官と、
自蔵航法システムのダウンした航空機
同士でも安心して飛べる空なのだろうか?
そんなことを思いながら、昨日の出発機
には結局以前と同じ経路「SAKAK DCT
TAPOP V71 ONC DCT NHC DCT MJC …」
(かつてのSAKAK W28 TAPOP G581 ONC
A682 NHC DCT MYC…)をディスパッチ
してしまった温故しまくりの私でありました。