視程ゼロ | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

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ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 昨夜の雨で湿っていたところへ
放射冷却が重なり、今朝の関東
平野は霧に悩まされた。
 
 特に凄かったのは成田。通常なら
日の出とともに消散する霧だが、
今日は時間を追って濃くなり、午前
8時過ぎにはなんと「視程ゼロ」!
 
 RJAA 072300Z 24001KT 0000
R16R/0250V0300N R16L/0200V0250N
FG BKN001 BKN002 12/12 Q1014 NOSIG
 
 20年以上パイロットやってきて、
視程ゼロという気象通報は初めて見た。
 
 雲の高さも100フィート(約30m)と低く、
ILS(計器着陸装置)の中でもカテゴリー
Ⅲと呼ばれる最も精度の高いシステムを
使わなければ降りられなかったのではと
思うほどの濃霧だった。
 
 成田には16Rという、長いほうの滑走路に
北側から降りる場合に限ってこのILS
カテゴリーⅢが使えるので、今朝は
到着機がこぞってこの滑走路を使って
着陸していた。
 
 このカテゴリーⅢ、機体に高価な装備を
搭載しなければならない上に、パイロットも
特別な訓練を受けていなければ実施する
ことができない。こういったときに、機材と
乗員にカネをかけられるレガシーキャリアと
そうでないLCCの差が出る。

ジェットスター ダイバート

 レガシーがカテゴリーⅢもしくはⅡで
ガンガン降りて行っていた中、台北からの
ジェットスターは九十九里沖でホールディング
(旋回待機)を繰り返したのち、あきらめて
関空へとダイバート(目的地変更)して
いった。こういうときにLCCは弱いね。

粘る粘る(笑)
 
 それにしてもよく粘ったものだ。拡大
してみたらなんと8周半も回っていた。
どうしても降りたかったのだろうな… 
そりゃぁそうだ。代替機のないLCCは、
到着機が降りられなかったら折り返し便は
欠航確定だもんな…
 
 関東平野の春の風物詩といえばこの
濃霧とそして強風。これからしばらくは
この2つに注意を払う日々が続くことになりそうだ。