SPKの謎 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

PTD ~ Pilot To Dispatch ~

ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 普段、フライトやディスパッチでは、飛行場を
表す略号にICAOの定めた4桁のアルファベットを
用いている。例えば成田であればRJAA、バンコク、
スワンナプーム空港であればVTBSというように。
 
 それとは別に、運賃や貨物、税関業務などでは
IATAと呼ばれる別の組織が制定した3桁の記号を
用いて飛行場を表している。前述の成田であれば
NRT、バンコクであればBKKという具合だ。
 
 皆さんはどちらかといえばIATAのコードのほうが
見かける機会は多いだろう。今日はこのIATA3桁
コードの話。
  
 千歳飛行場見取り図

 北海道、新千歳空港、航空自衛隊の千歳基地と
敷地を同一にし、平行滑走路4本を備えた、羽田に
匹敵する日本最大級の飛行場である。法的には
民間部分と自衛隊部分に区分されており、ICAOの
コードでは新千歳がRJCC、千歳基地がRJCJと
別々のコードが割り振られている。
 
 IATAの表示では新千歳は「CTS」を用いている。
ところが、日本航空だけはなぜか新千歳空港に
「SPK」を用いているのだ。
 
 「SPK」は、「札幌」を現す都市コード。一つの
都市に複数の飛行場を持つケースでは、個々の
飛行場のほかにIATAは「都市コード」を制定して
いる。例えば東京は「TYO」、ニューヨークは
「NYC」といった具合だ。札幌にも千歳のほかに
丘珠空港(IATA表記:OKD)があるので、運用の
便宜上「SPK」が割り振ってある。
 
 この「SPK」が曲者で、日本航空だけが使用して
いるのならばまだしも、アメリカ運輸省では、この
「SPK」を自衛隊の千歳基地に割り振っているのだ。
勝手にやられても困る話で、なぜなら自衛隊の
基地では通常一般乗客や貨物の扱いはないので、
日本の航空法や、IATAの文書では千歳基地に
3桁の空港略号は割り振られていないのだ。

  → 米運輸統計局資料
  → マニア向けQ & A サイト
 
 つまり、日本政府とIATAはSPKは「札幌」という
都市を表す記号と制定しているのだが、日本航空は
それを「新千歳空港」として、アメリカ合衆国はそれを
「航空自衛隊千歳基地」として使用しているわけで、
それが原因で事故が起きたことはないのだが、なぜ
このような状況が起きているのか、不思議なことに
なっている。個人的には、他の飛行場でこのような
ケースは見かけたことがない。
 
 ちなみに丘珠飛行場のICAOコードはRJCO。