悪夢再び !? … の緊迫 | PTD ~ Pilot To Dispatch ~

PTD ~ Pilot To Dispatch ~

ヒコーキオヤジのひとりごと
 空の話、ときどきタイのネタ…

 午後5時前、オフィス全員の携帯がけたたましく鳴った。
緊急地震速報。奈良で強い地震とのこと。
 
 瞬時に身体が動いた。 部下に対地震の運用指示を
出しながら私はオフィスの出入り口に走り、自動ドアを
非常解放する。頭の中には2年前の悪夢がよぎっていた。
 
 東日本大震災… あの時は緊急避難機で飛行場が
遅くまでごった返した。仮に震源が浅く、津波が来たら
最悪関空は沈むかもしれない… セントレアだって
無傷というわけにはいかないだろう… 今度もか…?
 
 ほんの数十秒だったように思う。あとで思い返してみると、
とんでもない速さで頭は緊急避難機の準備を整えていた。
デスクに戻ると関西から関東にかけての太平洋側の空港
コードをコンピュータに打ち込み、運用状況を調べていく。
幸いどの飛行場も気象には問題なく、特に閉鎖ノータムも
出ていなかった。
 
 ここまで2分もたっていなかったらしい。5時の時報を聞き、
マグニチュードが7.8から2.3に訂正され、どうやら緊急地震
速報の誤報だったということがわかり、一気に力が抜けた。
 
 同僚と部下はかなり驚いていたみたいで、緊急地震速報の
着信音を聞いただけで何でそこまで矢継ぎ早に指示を
出せるのかを不思議がっていた。
 
 3・11から学んだのは被災者ばかりではない。我々にも
貴重な教訓を残してくれた。2度とパイロットに心細い思いは
させない! 頭ではわかっていたつもりだったが、身体も
充分に学んでくれていたようである。
 
 時ならぬ「防災訓練」、本日の遅番勤務者、全員合格!
しかし、絶対に慣れてはけない。誤報であっても出ない
よりは全然マシ。何度でもこういった反応ができるように
気持ちを研ぎ澄ませてこれからも勤務に就きたいと思う。