影の中にいると、光が良く見える。
でもその境界をいつまでたっても越えられない。
近いようだけど、もう30年以上も経ってる。
昔、光の中にいたのだろうか。また戻れるのだろうか。
とてもまじめな鳥たちが、次から次へと違う島に渡っていく。
途中で嫌になって、僕は渡るのをやめた。するとえさがなくなって
水がなくなって、楽しいこともなくなった。幸せは、あったかもしれない
が見当たらなかった。そしてまた渡り始めた。いつも間にか、まじめな
仲間たちと合流した。何事もなかったようにまた渡り始めたが、一本一本
羽が落ち始めた。羽は、消耗品のようだ。毎日毎日少しずつ減っていく。
周りも見ると、皆そうだ。まじめだったわけではない。そういうものだったんだろう。
白い部屋の中にいた。窓がなく、電球もなく、何もない。真っ白く、四角い部屋だ。
仕方なくじっと座っていた。そのうち、ご飯が出てきたので食べた。運動器具が
出てきたので、運動した。本が出てきたので本を読んだ。人が出たきたのでしゃべった。
眠くなったらねた。暑かったら扇風機をつけ、寒かったらこたつに入った。人もいて、やることもあって、食べるものもあって、時は自然と過ぎていった。そのうちこの部屋から出られないことに不安を覚えるようになった。人と話すのをやめ、次第に寝る時間が増えていった。外に何があるかは分からないが、真っ白い小さな部屋に閉じ込められているのが嫌だった。辛いまま何年が過ぎただろうか。一緒にいた人達は消え、ものもなくなった。食べなくてもお腹がすかなくなった。寝なくても眠たくなくなった。ただぼうっとした。昔、この部屋でしたことを考えた。楽しかったと思った。
まず、耳が聞こえなくなり、目が見えなくなり、味が分からなくなり、匂いが消え、肌の感覚が消え、心臓の音を感じなくなった。頭の中ははっきりしている。必要がないと思った。
