私の母の、実の母
つまり私にとっては実のおばあちゃんですが
母が2歳の頃に亡くなっています。
母にはおばあちゃんの記憶が無いそうです。

その後、祖父は再婚し
いわゆる「継母」にあたるおばあちゃんに育てられました。
成人するまで、母は実のお母さんだと信じて疑わなかったと言います。

それは、継母である祖母が
実の親子として接し、心を込めて育ててきたから。

母の実家は熊本。
私が小・中学生の頃には数年に1度のペースで熊本へ行っていました。
そして帰りの別れ際、母や叔母は祖母と抱きあい別れを惜しんで泣いていました。
それは実の親子そのものでした。

祖父が亡くなった時
祖母は
「これでやっと“おたづさん”に会えるなぁ」
と言ったそうです。
亡くなった祖母の事です。

後妻である祖母は、いつも心に前妻の事があったのでしょう。
自分は2番だと、、、思っていたのかもしれません。

祖父が亡くなった数年後、祖母も亡くなりました。
叔母が遺品を整理していると
母が2歳の頃に亡くなった実の祖母と祖父の写真が出てきました。
写真館で撮られた立派なものです。
初めてその写真を見せてもらった時、
涙が出ました。
おばあちゃん・・・母に瓜二つでした。
こんなに似てるなんて!!やっぱり実の親子だと、私の実のおばあちゃんだと
そう思いました。

おばあちゃん、2歳の幼子を残して旅立たねばならなかった時
どんな気持ちだっただろう?
そして・・・
おじいちゃん。
亡くなった妻に瓜二つの娘を見て、どんな気持ちでいたのだろう?
母の中に妻の面影を見て、何を思ったのでしょう?

息子は
元夫によく似ています。
目元は全く同じです。
いつも息子の顔を見ては、色んな思いが心によぎります。
とても懐かしい気持ちと、愛おしさと
似ていてくれてありがとう・・・という気持ち。
思わずじーっと見入ってしまいます。
大きくなって、ますます父親に似てきたら
私はどんな思いがするのだろう。
彼女ができたりしたら、また辛く思うのだろうか。

もう我が子だと思っていないと言い放ったあの男。
でも、あなたにそっくりじゃないの。
あなたにそっくりのあの子を
私はずっと大切に育てるよ。
あの子の中にあなたの面影を見ながら
ずっとずっと一緒にいるよ。

あの子は確かに、私が心から愛した人の子供です。
もう2度と会うこともないだろう
あなたからもらった宝物です。
あの子を抱きしめる時
私はほんの少しの間救われるのです。

苦しい苦しいお産でした。
命の危険もあった位、厳しいお産でした。
でも、産んでよかった。
ママのところに来てくれてありがとう。
ママを救ってくれてありがとう。
しばらくは、ママの傍にどうかいてください。

やっぱり、この世の中どこを探しても
子供達の父親の代わりはいません。
私の夫の代わりもいません。

3人で、生きていくのが
今選択できる最善なのかもしれません。