前田が本作で演じるのは、初恋の人・吉三を救うために自ら罪人となるヒロイン・お七。ジェームス三木の書き下ろしで、あの「八百屋お七の放火事件」は実は冤罪(えんざい)だったという設定のもと、江戸時代にわが身を懸けて純愛を貫く悲しい恋物語を描く。
AKB48を卒業して約1年。グループ在籍中は歌やダンス、演技と多方面で活躍していた前田は、「(セリフのほかにも)ダンスを覚えたり、結構大変でした。でも、今はこの作品やお七のことだけを考えることができるのがすごく大きいと思います」と環境の変化を実感しているという。
どっぷりと女優業に浸る日々に「撮影が始まって1週間もたたないうちに、ヘアメイクさんに『自然になじんでいるね』って言われたときはすごくうれしかったです。皆さんとしゃべって、撮影して、また朝まで撮影する日々に、自分も普通にいられるようになったのがうれしいです」と屈託のない笑顔を見せた。
ドラマでは初恋の男性にいちずな思いを寄せるピュアな乙女心を熱演。「もしもその時代に自分もそうなっていたら罪を背負うまで簡単にできるかわからないけど、気持ちは痛いほどわかります」と自分と重ねながら、お七になりきるために「頭の中を吉三様でいっぱいにしています」とはにかむ。「わたしもいくつになってもお七みたいな純愛をしたいなって思います。いろんな年齢の方がお七を見て、そう思ってくれたらうれしい」と期待を込めた。
時代劇はNHKの大河ドラマ「龍馬伝」に続いて2回目の挑戦ながら、主演という大役に抜てきされた前田。現代劇とは異なる所作や感情表現、言い慣れないセリフなど多くの課題もあるが、「監督や所作の先生をはじめ、皆さん大ベテランの方ばかりなので、すごく甘えさせてもらっています。わからないことは聞くというスタンスで、一つ一つ吸収できるように頑張っています」と日々女優業にまい進している様子。
長いシーンのセリフにも「書く方が覚えられるので、一回ノートにセリフを書いて、覚えたらもう一回殴り書きしたりしています」と声を弾ませるなど、“女優”前田敦子として成長中の彼女の姿に注目だ。