故石原裕次郎さん(享年52)の主演映画「黒部の太陽」の舞台となった黒部ダムの完成50周年記念セレモニーが19日、富山・立山町の同ダムで行われ、夫人の石原プロモーション・石原まき子会長(80)が出席した。




裕次郎さんが命がけで製作したロケ地を初訪問し、ダムの放水などを見学。感慨深げな表情で「裕次郎さんは『来てくれてありがとう』と言ってくれていると思う」と天国の夫と“会話”した。


残雪が美しい北アルプスを背に、毎秒10トンを大放水する黒部ダム。激しい水しぶきに虹が架かる絶景を眺めたまき子さんは「どうして裕さんとともに黒部ダムに来られなかったんだろうと初めて思いました」と切ない胸中を吐露した。


1968年公開の「黒部の太陽」は、裕次郎さんと故三船敏郎さんのW主演で、世紀の難工事として名高い富山・黒部ダムの建設に命がけで挑んだ男たちを描いた超大作。昭和の大スターを語る上で欠かせない同ダムの完成50周年記念セレモニーを祝い、“夫の聖地”に初めて足を運んだ。





先月23日に80歳の誕生日を迎えたまき子さん。初訪問を決めた理由について「裕さんは私に黒部ダムを見せたかったと思うけど、製作当時は家庭人として家を守ることに徹して撮影現場に行きませんでした。でも、自分の年齢を考えると、2度と来られないかもしれないって…」と説明した。


「『黒部-』は裕さんが命がけで製作した作品。ここを見ておかなければ裕さんを語れないと思った」。前日18日にセレモニーを主催する長野・大町市で上映会トークショーを開催したまき子さんは、ダムのトンネル工事の難所で、わき水を含む軟弱層の破砕帯も見学した。19日は工事で命を落とした171人の慰霊碑に献花をささげ「日本人は本当にすごいダムを作ったんだと感謝すると同時に、裕さんも本当に素晴らしい映画を撮ったんですね」と涙した。




セレモニーでは裕次郎さんが東京・成城の自宅の庭に植えるほど愛した桜の木を記念植樹。「うちで三船さんや監督と製作会議する裕次郎さんの喜び、苦しみ、悲しみを桜の木はすべて見守っていたんです」としみじみ。





同プロの社長として資金調達に奔走し、難工事を再現する420トンの出水シーンでは濁流にのまれて親指を骨折した亡き夫を思い出したまき子さん。「ようやく本物のダムを見ることができた」と笑顔で青空を見上げていた。

読者登録してね

ペタしてね