今日は寒かった。

寒いと思い出すことがある。

 

「女の子はからだを冷やしてはいけないのよ。」

 

母が寝るベッドのとなりで、毛布にくるまって、冷たい床に寝たときに母に言われた言葉。

こんな状態でも、母は私の心配をしているのかと思い、苦しくなった。

 

呼吸が苦しくて、寝れないのに、私が来たため、電気を消してくれた。

 

「暗くすると寝れないのよね」

って言っていたくせに。次の日に仕事がある私のために、電気を消してくれた。

 

朝、

「朝だよ、起きなさい」

 

元気だった頃と同じように起こしてくれた。今でもその声を覚えている。

とてもとても優しい声だった。

7:45分だった。

 

「もう、入院しようかな」

 

弱い声で、そう言っていた。

 

レントゲンで肺は真っ白だった。

 

医者に、

「よくここまで頑張っていたと思う。お母さんは最後まで一緒に自宅で過ごしたかったんだと思います」

と言われた。

 

お母さん、頑張りすぎだよ。私の心配なんてしなくてよかったのに。

 

冬の寒さは、いつも、この日を思い出す。

 

「女の子はからだを冷やしてはいけないのよ。」

 

 

2021.10.19