最近、我が家にエアコンの定期検査ということで

3人のドミニカ人が来てインターホンを鳴らしてきた。

たまたま自分が家にいたのですが一応ドアを開ける前に

うちの奥さんに電話してちゃんと依頼して来た人かどうか

確認。

 

「家の何かの定期検査」で業者が家に来ると聞くと

最近すぐに頭に浮かぶのが日本で今、大騒ぎになっている

詐欺や強盗事件です。

彼らは大体、強盗や詐欺の実行犯を送る前に

前段階の「名簿屋の情報を元にしたタタキ部隊が

する事前の下見」

というのがルーティーン化されているからです。

(名簿屋やタタキ、を知らない人はググって)

 

ドミニカ共和国も治安は悪い国ですので

今回のエアコンの定期検査からトイレの修理、

ピザのデリバリーまで

誰か知らない人が家に来るというケースでは家の人が

情報共有するということに慣れていますが日本も今後は

そうなっていくのかなと。

 

 

 

「最貧困女子」の著者として有名な鈴木大介氏の

渾身のルポ「老人喰い」。

現在日本で起きている一連のルフィの

強盗事件やオレオレ詐欺に関する情報を知りたい人が一番参考になる

本ではないかなと。

 

10年ぐらい前に日本の実家がオレオレ詐欺の被害に合いそうになりました。

それ以来、実家のためにオレオレ詐欺の知識をつけておいた方が

良いと思い、様々な本を読んでみましたがこの本が取材内容が

濃いし、時代背景から組織の全容、リアルな研修期間など

書かれていて逸脱です。

またこれらの組織が高齢者優遇が生んできた社会背景がかなり関係

してきていることもリアルに描かれています

特に3ヶ月に渡る組織の実行部隊を育てる研修の内容は

濃いもので自分を全否定する訓練をするところから始まり、

高齢者に流れる資金を取り戻すという大義の元で行なっているという

身勝手な絶対信仰な感覚を植えつけていきます

単なる強盗や詐欺組織とは大きく異なり、企業に近い。

 

2012年ぐらいのアベノミクスがスタートした頃から

日本に住んでいる30代から下のクラスターの未来は崩壊している

ので今後日本の治安はかなり悪化するはずと様々な所で言われて

いました。

イメージ的には中南米のように近づくのかなと思ったりしましたが

それでも毎回日本に帰国するたびにあまり日本の治安が悪化してない

ことには不思議でしたがこの鈴木大介氏の本を読んで

「実は日本独特の形で治安はちゃんと悪化していた」

と認識した瞬間でした。

 

ただ「老人喰い」が書かれたのは2015年前後であり、

自分がこの本を読んだのもその数年後、ですがその時代と

今の日本と比べると本の内容と決定的に変化したことがあり、それは

この組織が「殺人」「強盗殺人」まで行うようになり

異常に凶悪化していることです。

 

自分の認識で実家の両親に伝えていたのは「彼らは殺しなどは

リスクと割に合わないのでしない」という説明でした。オレオレ詐欺などは

犯罪者にとって、特にまともに働いても将来が報われない

若者にとっては仮に捕まっても初回は執行猶予が付く可能性も高く

リスク&リターンとして割にあうもの、というのがこの

本で書かれていた内容でした。

それが組織の「募集屋」の説明、研修する時でも十分に説明して

タタキやかけ子、出し子などの実行部隊のモチベーションを

高めていたはずですが、ここにきて強盗致傷、強盗殺人などを

平気でしかも狙ってやるような組織が出てきたので

自分が想像していた状況とちょっと違い凶悪化が増した印象です。

鈴木氏も何かで語っていましたがコロナで日本の将来の悲観、

貧困が進んだこともその原因でしょう。

 

まさにこれは日本の今までの政治が生み出した怪物でしょう

 

 

 

 

 

 

 

この組織の構図ですが中南米のメキシコ、コロンビア、エルサルバドル

やドミニカ共和国で活動している麻薬組織と完全に仕組みが同じ

でとても興味深いです。

日本は治安が悪化していくので必ずこのままいけば

麻薬組織が誕生してくると考えていましたが日本で麻薬組織が

生まれる代わりにこの闇バイトの組織が

日の光が当たらない影で少しづつ少しづつ

社会に対する怨嗟(えんさ)のように育っていたようです。

 

中南米の麻薬組織と最も仕組みが似ているのは

 

1)末端の実行役が

捕まっても彼らは上役の顔も連絡先すら知らないので上層部まで

操作の手が伸びにくい。

 

2)初期の時点では殺しまではしていなかった組織が途中から

殺し、強盗と凶悪化の道を歩み始めたこと。

 

3)パブロエスコバル がコロンビアの政治に対しての不満を元に

政治を変えようとして組織を凶悪化していたように、闇バイト

の集団も日本の政治に対してのアンチテーゼを強力に持つ、

 

これら3点が全く同じです。

 

 

 

 

 

 

 

Netflix を世に押し上げた「ナルコス」というシリーズを見ていても

初期のパブロ・エスコバル は凶悪な組織ではなく

単なるどこにでも存在する密売人でしたがある時期に

「血の匂い」に味をしめ、そして組織が凶暴化していく

というシーンが出てきます。

 

 

このナルコスとは少し異なり日本の組織がより資金力を

つけてきて多くの実行役を雇うことができてまた末端の実行役を

容易に切ることができる構造があるのでよりダイレクトに

強奪できる強盗という道に流れていったのかもしれませんが

いずれにせよ10年後の日本の治安がより悪化しないことを

願いたいです。