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暴動ストが発生したラパスを脱出して
早朝の便に乗りボリビアの第2の都市であるサンタクルスへ移動。











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上空から見えるアルティプラーノの光景。
4000mの高さに広大な台地が広がる南米アンデス独特の地形です。

↓(これがアルティプラーノ)
http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/62948198.html


1年前はここを車で超えて行きましたが
広大な景色に圧倒された。

16世紀半ばほどまでここから数百マイルの所には西半球で最も大きく、有名で栄えた
ポトシの街があったことが今の貧しいボリビアを見ると不思議な気がする。
ポトシは銀の鉱山で栄えて最盛期には17万人もの人口を持ったというけど
まだ世界の人の平均寿命が42歳前後で人口がそんなに急増していない時代だから
かなりの繁栄ぶりだ。この銀の山の発掘は通貨の供給量という点で世界経済全体に影響を与え
ボリビアはこのただひとつの富の源泉により世界を席巻した歴史があるけど
その後の政治の稚拙さから衰退の一途をたどった。

万物は流転する。今の時代に先進国として存在していてもその30年後に先進国から
没落していった国は枚挙にいとまがない。
世界を巡ってひとつ学んだことは国が豊かになりそこにおごり、健全な国の
運営を怠ればその国は必ず衰退をたどり、国民の生活レベルは落ちるという
ことだ。










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よく見ると山岳地帯の所々に家々がポツポツと並んでいます。
毎日どういう生活しているのか、ラパスとかにはどうやって移動するのか
とても興味があります。










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これも写真だと見づらいですが谷間みたいな場所に家々がポツポツと並んでいます。
最初にあそこにどうやってたどり着いたのだろうか。











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サンタクルスに到着。アマゾンの熱帯に環状に広がるこのエリアは
標高が高いラパスと異なりここは海抜400メートル地帯。
気候も1年通じて年間平均気温は28度と暑くラパスとは全く異なる場所だ。。

ラパスとサンタクルスは気候だけでなく通俗・慣習はもとより人種もやや異なり
ボリビアに対しての政治的スタンス、考え方もかなりラパスの「パセーニョ(ラパス人の総称)」
達とは異なる。スペイン語のなまりもラパスやオルーロとは違う。
お隣のパラグアイと同様に白人の割合も多く現在の先住民系の大統領・エボモラレスの
やり方に対して圧倒的な反対派を占めるのもこのサンタクルスの特徴だ。

サンタクルスのは元々はお隣のパラグアイやウルグアイ、ブラジルの一部やアルゼンチンの一部と
同様にスペイン人、「コンキスタドール」達からの征服があった場所だ。
南米大陸の征服後、カトリック達は先住民たちを改宗させ、そのスペインによる支配の影響は
その後は様々な宗教的特権があるものたちに受け継がれた歴史がある。
そしてその中にはこの地に王家から派遣されたイエズス会たちも含まれていたのだ。

イエズス会はパラグアイ、現在のサンタクルス近辺に膨大な布教のネットワークをきずいて
時の権力を掌握した歴史があり
教会はこの地で巨万の富と権力を手にしておよそ南米中央部における生産に関わる半分以上の
土地がその支配下にあったと言われているそうだ。
その中でもイエズス会の布教活動はこの土地でもっとも重要な要素をもったらしい。

現在はイエズス会はスペイン王家ににらまれた後、追放の憂き目にあったために
影響力はほとんどない。代わりにとってかわったのが激しい犯罪と暴力、非合法集団の数々だ。
とりわけサンタクルスはボリビアの中でも圧倒的に治安が悪いので有名だ。

教会の宣教師がこういう未開の土地に現れてそこで絶大な権力を
もっていくいう発想はなかなか現代に生きる我々ではイメージがしづらいものです。
以前にも書きましたが当時の「農耕社会」が人間の間に非常に多くの影響を持っていた時代だからこそ
ありえた話だなと思ったりもします。

↓(教会の権威の話)
http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/63113298.html








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http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/62957091.html

以前にも来たサンタクルスを代表するレストラン、「Casa de Camba」
にまた来ました。
サンタクルスの肉料理はとても美味しいことで有名でここの
肉料理とドミニカのPresidente並みにノドごしが良い冷えたビールの組み合わせが最高だ。











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最初にご馳走になったのが熱帯でとれるワニの肉です。
このワニのシッポの部分を使ったステーキがこの土地の名物だそうで
いただいた。
肉質はやや硬かったが特製のソースとよくあいとても美味しかった。










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続いてサンタクルスの牛肉を食べる。
この土地の牛肉のステーキはアルゼンチンと並び、安くてとても美味しいので
有名です。










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名前は忘れましたがこれもサンタクルスの名物料理だそうだ。
リゾットの上に目玉焼きをのせて食べる。

サンタクルス人たちのエボ・モラレスへの憤り、ラパス人たちへの
嘲笑は食事中続いた。
分離独立の可能性もありサンタクルスは近いうちの国境線を変えて完全な
他国になるかブラジルあたりに帰属する可能性もあるのか聞いてみたら既に
そういう動きは2005年からあるそうだ。
この土地はかつて分離独立運動が何度も起きた場所であるようで
知らなかったが自治法制定の動きもあると。そうなれば完全に独立化の道も歩むだろう。

サンタクルスは第2の都市ではあるものの天然資源は豊富でボリビア人口の25%を
占め、またGDP全体のの30%しめるそうだ。
民族紛争と分離独立の動きに興味を持ち彼らに聞いてみた理由はそんなに不思議なことではない。
サンタクルス人の宗教観、民族間、文化、アイデンティティは他のボリビアのラパスやコチャバンバ県とは
違いそれをサンタクルス人達は否としているからだ。
これはボリビアに限った現象ではない。
今の世界全体の流れがそうでありロシアはチェチェンをはじめとした多彩な民族をまとめることは
できないだろう。アフリカでも数々の民族紛争が起きていて
アメリカですらもアメリカ南部のテキサスやサンディエゴ、
フロリダあたりはヒスパニックが多く彼らを中心にいつかは分離独立の気運はいっそう高まるはずだ。
無理やり宗教民族が違う人たちを国境線を示して統合しても長くは続かない。
世界の歴史が示してきたように国境というもの自体が長期の安定を保ったことがなく
経済がこの先困窮に陥れば必ずどこでもアイデンティティによる紛争は生じてくる。
我々日本人は島国にいるから分かりづらいかもしれないが世界を見渡すと国境ができ、その後
また破壊され再構築されてきたことの方が圧倒的に多いのだ。
目の前の世界がいつまでも続くというのが可能性が少なく我々は近視眼的にそう
信じているだけで実はすべては変化の連続で
これからの時代は圧倒的にその速さは増してだろう。

↓(参照記事)
http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/62862392.html

特にベルリンの壁が崩壊してから国単位の争いは資本主義VS社会主義の時代から
より民族単位、宗教単位の争いになっていくだろう。
トーマス・フリードマンはその著書「レクサスとオリーブの木」では民族、宗教の
旧い価値観を「オリーブの木」に例えてグローバル化の中でこれら古来の伝統的価値の固執の
対立と共存を描いている。
このボリビアの地で今後、資本主義がどんなに芽吹いてもサンタクルス人もラパス人も
そのルーツをたどり宗教や民族主義により自分たちのアイデンティティを築くのであり
国家の法律ではないのだ。