<酢橘の巻>  主宰 捌き 「小筆の君」ことひとみ宗匠


skoro編



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歌仙をまたやりましょうという意見をたくさんいただいたので、

前回一番がんばってくれた誠一郎さんの最近のお作を発句に、

また皆さんなごやかに参りましょう。

初めての方でもどうぞ挑戦してみてくださいませ。


初折    

発句   ほとばしるほど惜しげなく酢橘かな・・・笑禄(誠一郎改め)


脇・月     無沙汰の里に月を愛でつつ・・・・牛二


いい雰囲気の発句と脇です。

 

第三・秋 敬老の日にオートバイ買つてきて・・・ふみもと



第四     顎鬚残す散髪帰り・・・・・・・・ひとみ



第五・夏 夏の夜の街に危険な揮発性・・・・・・灌木

 

おおっ、夏の街に何かが起こる気配が。。。。。


折端     虹へ金銀黒も加へて・・・・・・・ふみもと

 

これはお洒落な虹。飾り窓の端から端へいっぱいに描かれているのでしょう。

ナイスバディーの水着のマネキンかしらん。


折立   絵の中の肖像の見るものはなに・・・・二酔

 

こうなると、シュールな虹は油絵の背景となってきました。

さてさて、肖像の人物は何を見ているのでしょう?


裏二     猫のトイレはハーブの匂ひ・・・・牛二


裏三・恋 持ち上げてじやれてもたれてつつき合ふ・・笑禄


裏四・恋   幼き恋もやがて無口に・・・・・・・・二酔


裏五・恋 でこぼこの道に重なる長い影・・・・・・・灌木


裏六     蛇とまごうて荒縄口惜し・・・・・・・ひとみ


冬の月  月光に注連縄なめす音響く・・・・・・・笑禄

 

歌仙は発句以外は切れのないのがいいのです。

前の句と合わせてひとつの世界を作ります。


裏八・冬   歳とるごとに早き年の瀬・・・・・・牛二

 

前の句と合わせてひとつの世界を作ります>と言ったとおりにいい雰囲気になりました。

父を思い出します。


裏九   群青の夜空に馬の影ひきて・・・・・・・ゆき


裏十     フィンランドにも遠い親戚・・・・・ふみもと

 

ホテルのチャペルで音楽会を聴いて帰ったら五つも付け句がきていました。

初めての紅椿さんからの句がきていて、うれしい悲鳴をあげました。

一番心地よく響いたふみもとさんのこちらをいただきました。

次は花の座です。


花の座  初花の端から埋まる喪の座席・・・・・・紅椿


初折・春    大蛤の汁椀の出て・・・・・・笑

 

 

名残の折

折立・春 朝つぱらから吃逆(しゃっくり)の針供養・・灌木


表二      出もの腫れものところ構はず・・・・・牛二


表三   もてあます禅智内供の鼻五寸・・・・・・・笑禄

 

ところかまわず伸びた鼻も迷惑この上ない。

どなたか、ぽーんと展開して下さい。


表四     ガンジス河で色即是空・・・・・・・・ゆき


表・恋  うすものを腰のラインにぴつたりと・・・・ひとみ

 

さて、次も恋ですからね。無季で。

名残の折は、初折より濃厚なのがよいようです。下品にならないよう。


表・恋    タンゴの夜は狂い死ぬまで・・・・・・二酔

 

笑禄さんの<ベリーダンスの君のウインク>も<まとわりつけば逃げられる恋>も

二酔さんには負けましたね。

でも笑禄さんの大好きなタンゴがはいっているのでオーライね。

恋はこれで完璧です。

次は恋から離れて下さい。無季の五七五で。


表七   コルドバに母をたずねて三千里・・・・・・笑禄

 

コルドバってアルゼンチンの都市なのですね。アルゼンチンタンゴ。

場面ががらりと変わりました。 次は無季の七七で。


表八     ティッシュボックス空つぽにして・・・紅椿

 

夜を徹して泣いたのでしょうね。

歌仙は初めての人ばかりの筈なのに、みなさん上手いですね。

老人力でしょうか(笑)


表九   湾岸の船眺めつつ観覧車・・・・・・・・・ゆき


表十     ハレー彗星戻る日はいつ・・・・・・・笑禄

 

どんどん展開していっていい感じです。次は秋の月の座です。


月・秋  月仰ぎいつまでも待つハチ公は・・・・・・ゆき


メルヘンの不思議な世界です。


折端・秋    こぼれ落つるは露か涙か・・・・・・牛二

 

もらい泣きしそうです(笑)。つぎも秋の五七五で。


折立・秋 青北風に古賀メロディーの聞えくる・・・・笑禄

 

青北風(あおぎた)=雁渡し、なんですね。本格的な秋はこれかということろ。

笑禄さん牛二さんとコンビ組んではどうですか?

次はもう裏二句目、無季の七七です。

 


裏二      恩師は丘に一人住まひて・・・・・・ふみもと

 

さて、この恩師とはどういう人なのでしょう。興味津々です。

次は無季の五七五で。


裏三   砂漠化を防ぐ手立てがみつかつて・・・・・灌木

 

面白いですね、人情としては古賀政男の弟子なんかが一人住いしている姿を想像するのですが、出てきたのは仙人のような白髪の学者でした。

次は無季か春の七七でお願いします。そのあと花の座ですので、植物は避けてくださいね。


裏四      地の果てるまで蒼き狼・・・・・・・笑禄

 

笑禄さん曰く、「草原を疾駆する、チンギスハーンの若き頃」

次は、花の座です。挙句に向かっておめでたい感じにしてください。


花の座  後ろ手に花衣とく紅絹の波・・・・・・・・ゆき

 

地の果~波。ゆきさんが色っぽい花を詠んでくれました。

挙句をどなたか。春の七七で。

 

挙句      春の炬燵にカード散らばり・・・・・紅椿

後ろ手~カード。一家団欒のほのぼの挙句になりました。発句の酢橘とも照応して。

 

皆様、二回ほど捌きを楽しませてもらいました。

ではまた俳句の頭に戻して、切磋琢磨してくださいませ。



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ひとみ宗匠、ありがとうございました。

またお願いしますね!