今朝、テレビをつけると、タイで軍事クーデターがあったと告げていた。

流血には至っていない。

全権をクーデターを起こした軍が握り、憲法停止、戒厳令を布告している。

クーデター発生直後は、全てのテレビは国王陛下の写真を流し続けていた。

 

しかし、大きな混乱は起こっていない。

インターネットでクーデターの写真集を見ると、国王に敬愛の念を示すという

黄色いリボンを兵士はつけ、機関銃や戦車にもつけている。

市民は、兵士に花を一輪手渡し、機関銃の台座につけて飾っている不思議な

写真もあった。

日本からのタイへのツアー旅行も、取りやめられていない。

 

タイ国は、正式には「タイ王国」であり、1932年以降は、絶対君主制ではなく、

立憲君主制であり、いわば、日本と同じく国王の権限は、民主主義のもとに

制約された象徴である。

しかし、そのような王制国家でありながら、度々クーデターは成功しており、

流血のクーデターもあったし、失敗したクーデターは相当の数に上るようだ。

民主主義の立憲君主国家とは思えない。

これを、タイ式クーデターというらしい。

 

これらは、すべて国王が調停し、軍と国民の間のバランスを取って権限を

行使して治めてきている。

現在の王朝は、1782年から続いており、現在の国王陛下は、兄の変死のあと

即位し、在位50年を超える間、度々のクーデターを鎮めたしたたかな権力者

であるといえる。 プミポン・アドゥンヤデート陛下である。

 

タイの在京大使館の公式文書にも、クーデターを容認してはいないが、

クーデターの結果を認め、「タイ式民主主義」がある、と、自ら書いている。

平和時には国民の敬愛を一身に集める象徴であり、クーデターを起こすような

国を二分するような変事のときは、かつての二二六事件に対する毅然とした

方針や軍も政府も結論を出せないでいた終戦を決断された昭和天皇のように、

みずから乗り出されているのである。

 

しかし、この国王の超憲法的な行動は、やはり、常に国民の安全と繁栄に寄与

するかどうかの微妙なバランスを読み取って結論されるから、これまで、

受け入れられてきたのであり、「タイ式民主主義」であるという所以であろう。

従って、タイの歴史と国の成り立ちを考える時、一概にクーデターがあるから

民主主義が成熟してないとは言い切れないと思う。

しかし、日本でこのようなタイ式式であろうが何式であろうがクーデターがあっては
ならないことは、言を待たない。

 

今日、いみじくも、自民党総裁になった安倍晋三氏は、今後、首相として大きな

権限を持つことにあろう。

私は、このたび自民党員として1票を行使したが、安倍氏には投じなかった。

安倍氏には、タイとは違う民主主義国家として、国民の声をバランスをとって

把握し政治に活かすことをお願いしたい。


そして、バランスをとるには常に時間と金がかかることを、
我々国民としては覚悟しなければならない。