彼女は僕より二つ上だ。きれいな人だ。姉御肌でもある。

仲良くしてくれていて、若い頃の話になった。写真見せてよ。そんな与太話。

見せてくれた。何十年も前の写真。一昔前に流行りの髪型。今よりもふくよかだった。

美人だ。この頃に出会っていたら、声くらいは掛けたろう。

人の顔は変わる。世間を知れば知るほど、顔は変わる。若い頃は将来自分に起こることはわからない。それ程悩むこともない。

今の彼女は沢山の問題を抱えている。だから、この写真は彼女であり、彼女ではない。

美人とか可愛いとかは実は意味を持たない。可愛い女の子はいつか劣化していく。

白髪になり、シワが出る。

美奈子は自惚れた。結果は破滅だ。あの子が年齢を重ねることはもうない。

美奈子はもういない。

朝、4時台に遊歩道のベンチに黒ジャージの女の子。でかいカバンと袋をベンチに置いて携帯でお話。

時々泣いてるから、別れ話か。

まあ、どうでもいいけど、悪い奴に襲われないように。

私は大丈夫はあり得ません。

鬼はあちこちにおります。

女は仕事に来なくなった。頭がイカれたようです。

いや、それすら怪しいわけです。何かを画策しているのでしょうか。

それくらいはやりかねません。

だが、本当に僅かでも良心があるのなら。本当にイカれたかもしれません。

あたくしと同じ地獄への道を歩む気ですかねえ。過ちは誰にでもあります。いや、魔が差すってとこでしょうか。

取り返しのつかないことはあります。踏み越えたらそれはもう鬼の道です。

誰かに殺してもらうしか、贖う道はありません。

地獄に行っても毎日責め殺されます。

行くも地獄、引くも地獄。あたくしですか?

地獄はごめんです。あたくしでも逃げ出したくなるでしょうからね。