あゆかのブログ

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第1 設問1

1 X1らのY社に対する平成24年8月22日以降の賃金の請求が認められるためには「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったとき」(民法536条2項前段)といえなければならない。Y社は平成24年8月22日以降Xらの就労を拒否している(以下「ロックアウト」という)ことからその正当性が問題となる。

  労働者に争議行為が認められている趣旨は使用者が労働者に比べ優位な立場にあるため、労使対等の促進を図るために認められるものであることから、原則として使用者には争議権は認められない。

  もっとも、労働者の争議行為によりかえって労使間の勢力の均衡が破れ、使用者側に不利な圧力がかかった場合には対抗防衛手段として相当性が認められる場合には正当性が認められる。

  そして、使用者も操業の自由を有しており、ロックアウトも使用者の争議行為の一態様として対抗防衛手段として相当といえれば正当なものといえる。

  具体的には①労使間の交渉の経緯②労働者側の争議行為の態様③使用者側の受ける打撃の程度にてらして相当性を判断すべきである。

  以下では①②③の要件につき検討する。

2 ①について

  Yは100名の人員削減を中心とする経営改善計画の下で、勤務時間中の組合活動を行う者に対して今後賃金カットをするとともに懲戒処分を行うとX組合に通知し、組合員29名の勤務時間中の組合活動を理由に3日間の出勤停止の懲戒処分を行っている。

  Xはこれに反発して団体交渉を求めたものの実質的な交渉に至らなかったためYによる相当な交渉がなされていないように思われるが、AY社側の代表となっていることにX組合側から拒否反応を示して反発したことによるものであり、交渉経緯にY社側の落ち度はないものといえる。

3 ②③について

  争議行為は憲法28条の団体行動権の保障に基づくものであり、労使対等及び労使自治の促進を図るために主体、目的、手段、態様にてらし正当性が認められる

  本件では、X組合が主体となって経営改善計画という労働条件その他労働者の待遇や労使関係の運営に関する事項で使用者に処分可能なものについて団体交渉を経ているものであり、主体、目的、手段については相当性が認められる。

もっとも、態様については、X組合はⓐ平成24年7月10日午後3時からⓑ同月10日午後3時からⓒ同月午後3時から争議行為としてストライキを行っている。

  ⓑⓒでは予告なしに48時間という長時間にわたってストライキを行うものであり、

従業員数約700名、収容人員数約2000名におよぶホテルを営むY社にとって当該ストライキは調理部門の従業員の多くがX組合に組合員であったことから、事前予告なく行われたストライキは態様において労使間において対等なものとはいえない(②)。

  さらに、ⓐでは48時間ストライキを継続するとYに伝えられていたものであるが、実際には午後6時には解除され、Y社は当日と翌日の宿泊客及び予約客をキャンセルせざるを得ず、ⓑⓒによって予約客数が著しく減少して営業が不可能な状態となっているため、使用者は回復困難な打撃を受けているものといえる(③)。

  したがって、Y社のロックアウトは対抗防衛手段として相当性が認められ、正当性が認められる。

  よって、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったとき」ということはできない。

  以上により、 X1らはY社に対して平成24年8月22日以降の賃金の請求をすることはできない。

第2 設問2

  ZX組合の活動が行き過ぎであるとしてストライキに不参加を通告したものであるが、X組合はZのストライキ不参加を「組合の決定に違反して統制を乱したとき」という規約の制裁事由に該当するとしてZを除名処分にしている。X組合によるZの除名処分は有効か。

  組合活動に対する批判は組合民主主義の観点から自由であるが、一定の場合には組合による統制を受ける。

  本件では、規約の制裁事由に該当するとしてZを除名処分にしているが、けん責、資格停止などほかの処分が可能であり、制裁として不適切である。

したがって、X組合によるZの除名処分は無効である。