【短】 とらいあんぐる㊳ | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

ウォンキュ☆ひたすら妄想~

superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


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「ヒョン!早くしないと遅れるよ。とにかく俺先に出るから。」
キュヒョンが玄関先でまだ支度途中の俺に叫ぶ。

『わかった!じゃぁ、あっちで。じぃや、キュヒョンをよろしく。』
俺はタイを絞めながら階段の上からそう答えた。

キュヒョンとじぃやはそんな俺に手を振り出かけて行った。


どんなに願ったとしても時刻(とき)と言うのは流れるもので
俺とキュヒョンの甘く蕩けるような毎日が刻一刻と終わりに近づいていく。

今日は例のチャリティーパーティーの日だ。
二人でこの家に舞い込んでから早いものでもう10日がたつ。
その間周りの雑音が一切入らない状態でここで過ごしてきた。

外に出るのは本当に久しぶりだ。

そう。
ふたりきりで過ごす時間の終わりが近づいてることを告げられてるようだ。

謹慎中の俺とケガで療養中のキュヒョンが一緒にいるとは
誰も思ってないだろうし、極親しい仲間でさえ居場所を知らない。

”気にすることはない。一緒に行こう。”という俺に
一緒に行くわけには行かないとキュヒョンは最後までうんと言わず
俺が根負けした。

まぁ、じぃやが送ってくれるから心配はいらないが…

要するに片時も離れていたくない。
それだけなんだが…

『じゃぁ、行ってきますね。』

「はい。いってらっしゃい。」

そういうばぁやにハグした。
ばあやは俺の蝶ネクタイを少し直し
”さぁ、これで大丈夫”と言って送り出してくれた。

車に乗り込みエンジンを掛ける。
久しぶりに乗る車のエンジンの振動が心地よかった。

サイドブレーキを外し、アクセルを踏んで車をスタートさせた。

パーティー会場までは郊外のここからだと一時間弱かかる。
先に出た二人は今どこらへんなんだろうか。
もうすでにキュヒョンが恋しい。

我ながら呆れるよ…

そう思いながらハンドルを握り直した。

これまでの数日間は本当に名実ともに充実していた。
時間に縛られず、夜になったら寝て、朝になったら起きる。
腹がすけば食事をし、そして本能のままに体を重ねた。

永遠にそんな時間が続いてくれればよかったが
そうも行かず、今日はこうして出かけたのだが…

メールが届いたのを知らせる音がした。
見るとユジンからだった。

”ちゃんときなさいよ!二人とも。”

”はいはいはい。こうして馳せ参じてますよ。”
そうつぶやきながら、”了解”とだけ打って返信した。

ショパンのピアノ協奏曲が車内を包み込む。
その心地よい音に心がだんだん落ち着いていくのがわかる。

ここまで来たら焦っても仕方ない。
ダニエルの事ならもう大丈夫。
そう自分に言い聞かせる。

この数日の間に俺は幾度となくダニエルの件を
キュヒョンに伝えるべく切り出した。

でもキュヒョンはガンとして聞き入れてくれなかった。
こういう時のキュヒョンは頑固だ。
また時間を改めて…と思っているうちに今日になってしまった。

本当に気にしてないのかどうかは正直わからない。

流れに乗り順調に車を走らせる。
この分だと会場には後15分~20分で着くことができるだろうと
思い始めたところにじぃやから電話が来た。
『もしもし。シウォンです。あぁ。そうですか。無事着いてよかった。
えぇ、俺も後15分くらいで着きます。えぇ。それで大丈夫です。
ありがとう。気をつけて…』
じぃやはキュヒョンが無事会場に入るのを見届けて連絡をくれた。

今日は正装をしているため、入り口で止められることはないとわかっていても
心配だったのでホッとして肩の力が抜けた。

車外の景色が緑の木々ではなく、だんだんと建ち並ぶビルが多くなってきた。
自然とアクセルを踏む足に力が入る。

ふっと蝶ネクタイを締めた正装のキュヒョンのイメージが入ってきた。
そのかわいらしくもちょっと凛々しい姿に、頬が緩む。
見惚れたのを隠すように”孫にも衣裳だな。”と思わず言ってしまった。

「ほっといてよ…イケてると思うのにな…」

とキュヒョンが蝶ネクタイを揺らしながら頬を膨らます。

その拗ねた顔の可愛いこと…
俺は最大限の笑みを浮かべ、冗談だよと言ってハグをした。

ほんの2時間前の光景を思い浮かべながら
目前に見えてきた会場のホテルに入るべくウィンカーを点滅させた。






じぃやと別れた俺は今回は忘れずに持ってきた招待状と
正装のおかげてすんなりと入り口のセキュリティーをパスし
チャリティー会場内へ入った。

会場の外でヒョンを待ってようかと思ったけど
男同士待ち合わせというのもおかしな話だと思い止めておいた。

会場の中はすでに各界の著名人で溢れており
一瞬で気が重くなった。

…やっぱ俺、向いてない

そう思いながらヒョンが来るを部屋の隅の方で待つことにした。

人と人の波の間を縫って、移動する途中でユジンの姿が目に入った。

…よかった

俺は話しかけてこようとする人たちに会釈をしながら
ユジンのところまで移動した。

「ねぇ、ユジ…ン……あっ…」

誰かと話してるのはわかっていたが
人の影に隠れてて、その相手を認識しないまま近づいた。

ユジンと一緒にいたのはダニエルさんだった。

「やぁ。キュヒョンくん。来るとが聞いていたが
こんなに早く会えるとは思えなかったよ。」
ダニエルさんはいつものようにハンサムガイだった。
にっこり笑って手を差し出されて思わず自分も手を出し握手した。

「キュヒョン。ちゃんと来たのね。偉いじゃない。
心身共に元気そうだけど…もう大丈夫なの?」

ユジンにそう言われて慌てて手を離そうとしたが
ダニエルさんが手を離してくれない。

「えっと…あの…」

「ん?何?」

「いや、あの、手…」

「あぁ~ごめんごめん。あんまりのも触りこ心地がいいものだから…」

「は、はぁ…」

「本当に元気そうでよかった。
最後に君を見た時は…ちょっと見る影なかったから…
本当によかったよ。」

「ありがとうございます。」
俺はペコリと頭を下げた。

「それに今日のその姿。それならもう追い出されないな。」

「あ…えぇ…おかげさまで…その節は…」

「で。誤解は解けたのかな?」

「え?」
そうダニエルさんに言われて顔を上げると
にっこり笑ったダニエルさんがいきなり俺をハグした。

「ちょっと!ダニエル!久しぶりに会ったそうそう、
うちの弟にかまわないでちょうだい。」
ユジンが呆れてそう言うと

「いや、キュヒョンくんの抱き心地は一度知ってしまったら癖になる。」

「ちょっとダニエル。どうしてうちの弟なのよ。
あなたならもっとスマートで洒落てて、可愛いメンズ、
黙っててもあつまってくるでしょうに。
どんくさいうちのキュヒョンなんて…物好きにも程があるわ!」
ユジンが容赦なくたたみかける。

…ユジン。それひどくないか?

「ちょっと、ユジン、それひど…」

「ひどいなぁ、こんなかわいい弟をそんな言いか…た…して…」
俺を抱きしめるダニエルさんの腕に力が入った。

「あ、あの…」
こんなとこヒョンに見られたら大変だとちょっと焦った俺は
その腕からなんとか抜け出そうともがく。

「やぁ。シウォン。遅かったじゃないか。」

俺の頭越しにダニエルさんが俺の背後にいるであろう人物に声を掛けた。

「えっ?」
俺はびっくりして体を離そうとしたがダニエルさんが離れてくれない。

『やぁ。ユジン。久しぶり。そしてダニエル。俺の連れがどうかしたのかな?』

ゆっくりとはっきりした口調だったがその声に感情がなかった。

…ヒョン

『キュヒョン。こっちへおいで。』
ヒョンの優しいけど凛とした声を背中越しに聞き

「あ、あの…ダニエルさん…お願い…」
俺はダニエルさんにお願いをした。

「はぁ…残念。もう二度とこんなチャンスないだろうに…」
ダニエルさんがそう言って離れ際に俺の髪にそっとキスをした。

多分ヒョンもわかったはずだ。

一歩下がると立っていたヒョンにぶつかった。
ヒョンが俺の両肩を両手で包み込んだ。

「相変わらずタイミングが悪い男だな。君は…」

『俺のタイミングなんて気にしてないでしょ。よく言うよ。』

「そりゃそうだ。さすがシウォンは俺の事をよくわかってる。」
わっはっはと豪快に笑うダニエルさんはとっても嬉しそうだった。

妙な緊張感に俺たちは包まれた。

「ちょっとちょっとあなたたちなんなのよ。
この私をこうも無視するなんて上等じゃない!!」
そんな緊張感をユジンが打ち破ったのだった。

そして一番損ねちゃいけない人物の機嫌を損ねるという
地雷を俺たちは踏んだのだった。







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