「え?」
耳元で名前を呼ばれた気がして飛び起きた。
キュヒョンはソファーの上に正座をして周りを見回した。
しかし暗闇の中にシウォンの姿はなかった。
…ヒョンの声だったのに気のせいか…
「はぁ…」
時間を確認しようとソファーの下に落ちていたiphoneを拾った。
画面を開くとメールが何通か届いていた。
…え?うそ!
見慣れた名前のメールを開いた。
そこには今すぐにでも会いくて仕方がない
シウォンの元気そうな姿が…

…ヒョン…
元気そうでよかった。
待ちに待った連絡。
本当なら嬉しいはずのメールを見て何故かキュヒョンは
余計気分滅入って行った。
…何だよ。
こんな
こんな
元気な顔しちゃって。
声を聞いて、画像を見て、元気そうな姿にホッしたけど
手放しで喜べない自分にちょっと自己嫌悪を感じていた。
…寂しいのは俺だけ?
でもさっき寂しいって言ってくれたよな…
電話越しだったが、シウォンのちょっと低音ででも甘さを感じる声が
本当に素敵でキュヒョンは腰が疼くのを感じていた。
そんな事を考えていると何だか体の熱りを感じ始めてしまった。
…ばっかじゃない、俺。
そんな自分の躰の変化にちょっと焦ったキュヒョンは
ソファーから立ち上がった。
…あぁ~も~
このままじゃ何だか眠れそうもない。
キュヒョンはそう思うと頭をガシガシ掻いて部屋から飛び出した。
キュッキュッ
自分の躰を持て余したキュヒョンはシャワーを浴びてすっきりしようと
バスルームに飛び込んでシャワーのコックを思いっきり捻った。
「うわッ!冷たっ!!」
シャワー~勢いよく飛ぶ出してきたのは冷たい水だった。
…頭が冷えてちょうどいいや。
そう思ってしばらくそのまま冷たいシャワーを頭から浴びた。
…シャンプーしてやろうか?
またシウォンの声が聞こえたような気がした。
冷たいシャワーを浴びても浴びても頭に浮かぶシウォンの姿に
とうとうキュヒョンは躰の中心が反応し始めてしまった。
腰が痺れて重い。
下腹部に血液が集中し始めたのがわかる。
…ちょ、ちょっと。
どうしたんだよ、俺。
こんな事、今までなかったのに。
キュヒョンはそのままそっと自分自身に触れた。
躰がピクンと震えた。
それは自分の意志とは関係なくどんどん勢いを増し…
「ヒョン…俺…」
キュヒョンはそのままそっと手のひらで包み込み
シウォンの事を思い描きながら上下に動かし始めた。
…ヒョン
…ヒョン
…シウォナァ…
最初は握った手を遠慮がちに動かしていたけど
シウォンががいつもしてくれることが頭に次々と浮かんでしまい
いつしかその動きは激しさを増していった。
「…はぁ…うっくぅ…はぁ…あっ…ヒョン、ヒョン。」
甘い吐息が思わず口から零れる。
…ヒョンおれ、もう…
「…あぁ…あっ、あっ、ダメ…」
ドクンドクンと脈打つ快感にキュヒョンは体を震わせた。
そして最後の一滴を絞りだすかのように必死に擦り上げた。
そう、シウォンがいつもしてくれるように。
弛緩する躰に力が入らず、そのままタイルの上に
ペタリと座りこんでしまった。
だんだん涙が込み上げてきた。
キュヒョンは自分で自分の躰を抱きしめ必死に嗚咽をこらえていた。
…やっぱりヒョンじゃなきゃヤダ!
だって、むなしいだけだよ、こんなの…
キュヒョンの奮える声はシャワーの音にかき消されていった。
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サクッと一回で終わらすはずが…
ちょっとした寂しさを思い知ってるところ
描いてみたくなりました。
サクッとね。サクッと…