とにかくこの非常に面倒且つ大迷惑な異常事態を
どうにかしなくてはとヒチョルとイトゥク、そしてイェソンが
緊急ミーティングと称して集まった。
「おい、どうすんだよ、あいつ。なんでいつもいつもこぉ・・・」
ヒチョルが手をバンバン振り回しながら2人に問うた。
「どうするって、どうもこうも・・・なんかやれることあるのか?」
イトゥクが首を横に振りながらため息をつく。
「そんなの知んね~し。
おい、イェソン。お前まだ固まってんのかよ!」
ヒチョルが未だ呆然としているイェソンの頭を小突いた。
「え?痛っ!え?何?」
イェソンはハッと我に返り、ふたりの顔を見た。
「ダメだこいつ・・ほんっと使いもんになんねぇし。」
「とにかく、あいつを呼ぶか。まずはそこからだな・・・
このままじゃ俺たちまでおかしくなっちまう。」
イェソンがPHSを取り出しシウォンに連絡をした。
☆
「で、お前どうした?」
『・・・何が?』
「どう考えてもおかしいだろ、お前ら。」
『別に・・・』
「いや、お前、キュヒョンと何かあったんじゃないか?」
『え?別に・・・何も・・・』
「そうは思えないんだけど。俺たちに言えないようなことか?」
今すぐにでも飛びかかりそうなヒチョルを制しながら
イトゥクが我慢強く問いかけた。
『言えない事・・・?別にないけど・・・』
「おっまえ!ふざけんなよ!じゃぁ、あれはなんなんだよ!!」
我慢できずにヒチョルが飛び出しシウォンに詰め寄った。
『え?何が?』
「いつも言ってんだろ?!俺たちを巻き込むなって。
なのにどうよ、これ。」
『ちょ・・・ヒチョル大丈夫か?』
「はぁ?大丈夫じゃねぇよ。それよかイェソンだよ。
イェソン見てみろよ!お前の世で廃人だぞ、さっきから」
『え?俺のせい?なんで?』
「お前、アホか!お前がリョウクに抱きついたりするからだろ」
ヒチョルの声がだんだん大きくなっていった。
『あぁ・・いや、あれは・・・えっと・・・』
「なぁ、お前、キュヒョンに何したんだ?」
イトゥクがヒチョルをなだめながらシウォンに聞いた。
『え?キュヒョンに?・・・別に・・・』
シウォンが消え入りそうな声で答えた。
「あいつが何にもしてないっていうんだから
後はお前が何かやったとしか思えない。」
そんな押し問答を続けてるところへ
ウニョクとリョウクが嫌がるキュヒョンの腕を引っりながら連れてきた。
「おぉ。来たな。お前もそこ座れや。」
ヒチョルがシウォンの隣に座るようキュヒョンを促した。
最初は抵抗したものの、キュヒョンは仕方なく人ひとり分入れるぐらいの
距離を保ちながら渋々シウォンの横に腰を下ろした。
「なぁ、俺言ってるよな。お前らが痴話げんかしようがなんだろうが
知ったこっちゃないって。でもな、俺たちを巻き込むのよせって
あれほどいってるじゃねぇ~か。なのになんだよこれ。」
ヒチョルが手に腰をあて、ふたりの前に仁王立ちし問い詰めた。
『「え?」』
「え?じゃないよ。喧嘩してるのにそこはシンクロって・・・
まったく・・・お前らほんっとーに究極のバカップルだよな。」
『「え?ひどっ。」』
「そこもシンクロかよ!おい、お前らもなんか言ってやれ・・・うわっ!」
「イェソン!」
「ジョンウンさん!」
「ジョンウン先生!」
みんなが一斉に叫んだ。
ずっとショックで固まっていたイェソンがいきなりシウォん位掴みかかったのだ。
「お前、リョウガに何したんだ!俺のリョウガになんで勝手に抱きついたんだよ!」
『ちょ、ちょ、ちょっと。く、くるじいぃぃぃぃぃ』
「ジョンウンさん!ジョンウンさん!
止めてよ!僕は大丈夫だから。何もされてないし!」
リョウクが必死にイェソンに抱きつき、やめさせようとした。
「よし、落ち着いたな。リョウク、しっかり捕まえとけよ。」
イトゥクがそう言うと”うんうん”と必死にイェソンの腕をつかんだリョウクが頷いた。
「なぁ。キュヒョン。これ以上被害者が出ないようにちゃんとしてくれよ。」
ヒチョルが何を聞いても答えなかったシウォンではなくキュヒョンに矛先を変えた。
「なんで俺?」
「お前も悪い。みんなに”別れちゃえばいい!”なんて言うから
みんなはめちゃくちゃ迷惑だ。」
「だって、先生たちがみんなして俺が悪いって・・・
おたおたしすぎでしょみんな。」
「はぁ?おっまえなぁ~」
ヒチョルが思わずこぶしを振り上げてキュヒョンにゲンコツを落とすフリをした。
「ほら、そうやってすぐ俺を殴るし・・・
嫌がってなかったドンヘ先生に文句言ってよ・・・まったく・・・」
サッと防御態勢を取り、頭を抱え、首をすくめたキュヒョンがヒチョルに言うと
ヒチョルが目をまん丸くして絶句した。
「おい、キュヒョン言いすぎだぞ!」
ウニョクがあわてて、キュヒョンに駆け寄り謝るように促す。
「何言ってんだよ。ヒョク、お前だって嫌がってなかったじゃないか!
だからトゥギ先生にも言っただけじゃないか。」
「何を言ったんだよ。」
「え?そんなに気にくわないんなら別れちゃえばいいって。」
「お前バカか?!お前本当に何なんだよ!」
今度はウニョクがキュヒョンに掴み掛ろうとしたので
みんなでそれを止めた。
『何だよ、お前ら。俺のキュヒョンに何するんだよ!』
シウォンも思わず立ち上がりみんなを制する。
「はぁ?お前なんだそれ!お前らのせいなのに
なんだよその態度。ったくよー」
ヒチョルも負けじとシウォンの襟ぐりを掴み一触即発で
誰もがまずい!と思った時
「ごめんごめん、遅れちゃって。」
とドンヘが入ってきた。
「あれ?どうしたのみんなでわいわい楽しそうで。なにやってるの?」
ドンヘの空気を読まない一言に一瞬みんなの気が反れた。
「あっ、キュヒョン!お前、間違われたんだって?わらっちゃうよな~。」
ドンヘがキュヒョンを指さして笑った。
「おいドンヘ!お前何か知ってんのか?おい、何知ってんだよ!」
ヒチョルがドンヘの襟元をむんずと掴みどんへを引き寄せて聞く。
「ちょ、ちょっとレラ、どうしたの?顔近いし・・・うれしいけど。」
最初ビックリしていたドンヘが目じりを下げてふにゃっと笑う。
「そ、そうか・・・お前、相変わらず可愛いな・・・
って違う!今はそうじゃなくて、何を間違ったんだよ。」
「え?」
「キュヒョンが何を間違われたんだよ!」
「あれ?みんな知らないの?」
ヒチョルに掴まれたままドンヘがみんなを見回すと
みんなが一斉に自分を見ていた。
「いやだなぁ。シウォン言ってないの?
こいつさぁ、寝ぼけてキュヒョンの事、バグジーって呼んじゃったんだってさ!」
で、キュヒョンに怒られてやんの。あっはっは~、間抜けだよねぇ~」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
「え?」
みんながポカ~ンと口を開け、
シウォンの視線が宙を舞い、
キュヒョンがチッと舌打ちする中、
ドンヘの笑い声が部屋中に響くのだった。
