気が付いたらベットの上だった。
----- 俺・・・どうした?
ベットサイドの間接照明の淡い光の中でぼあぁーとした頭で
ちょっと思考を巡らしてみたがめんどくさくなってやめた。
髪を撫でられてるのがわかった。
その心地よさに幸福感がこみあげてきて思わずその手を握った。
『気が付いた?』
「ん・・・ヒョン・・・なんでここ?」
『ごめん。ちょっとやりすぎた。』
「・・・?」
『キュヒョン、お前意識失くした。気を付けていたんだけど。
のぼせさせちゃったな・・・』
「あぁ・・・そういえば・・・」
『水飲むか?』
「うん」
キュヒョンが体を起こすとはらりと上掛けが落ち、
上半身が淡い光の中で露わになった。
その胸の傷に沿って並ぶ紅色の印が浮き上がって見える。
その肢体を何度となく見慣れていたシウォンだったが未だに息を飲む。
ペットボトルの水を渡されたキュヒョンは一気に半分ほど飲み干した。
キュヒョンの口の端から一筋水が垂れた。
その水が顎から首筋を伝い鎖骨の上に溜まりを作った。
それを目で追っていたシウォンはキュッと目を細め
思わずその溜まりに口をつけ啜った。
「くすぐったい・・・」
ぽわんとした顔で目をこすりながらキュヒョンがクツクツ笑う。
シウォンはそのままチュッと吸い上げた。
「あっ・・・」
小さく熱を帯びた声が漏れた。
『キュヒョナ・・・はぁ・・・愛してる・・・』
シウォンが静かにその腕でキュヒョンを包み込む。
「ん。知ってる・・・」
その胸にぴったりと頬を寄せ、シウォンの胸の鼓動を聞きながら小さく答えた。
『いや、まだまだわかってない・・・』
「何だそれ・・・欲張りだなぁ。」
クツクツ笑うたび体が小刻みに震える。
『そう、ものすごーく欲張りだ。キュヒョナが欲しくて欲しくておかしくなりそうだ。』
”んんん~”と言ってキュヒョンの髪に顔を埋めながら、ギュッと抱きしめた。
「ばっかじゃない。」
『あぁ。ばかが付くくらいキュヒョンにイカレテるんだよ。』
「良く飽きないよな・・・」
『飽きるって、何に?』
「え?・・・いや・・・えっと・・・」
『飽きた方がいい?』
「うん。だって俺・・・飽きた。」
『え?!』
「だって俺・・・覚えてない方が多い・・・」
『あぁ。』
納得。
とばかりに頷いたシウォンはそのままそっとキュヒョンをベットに横たえ、
キュヒョンの髪を優しく撫でながらその目を見つめにっこり笑ってえくぼを見せた。
シウォンが額にそっと口づけると目をキュッとつぶり、
”んん・・・”と声を漏らした。
その声を呑み込むようにシウォンが唇をチュッと啄んだ。
『キュヒョナ・・・いい?』
「んっと・・・ダメ。」
キュヒョンはそう言うとクルリと背を向けてしまった。
『キュヒョナ・・・』
シウォンの低く甘い声が耳元からキュヒョンを包み込み頭が痺れる。
背中越しに包み込まれるのが好きだった。
決して小柄とは言えない体をすっぽり包み込まれるのは
この上なく心地よいもので、これは相手がシウォンだからあり得ることで・・・
小柄なウニョクやソンミンがうらやましく思っていたこともあった。
(あの2人とだと、俺が包み込む方だし。
と、俺が攻?いやぁーどうだろう。それ。)
そんな事が頭をよぎり、クスリと笑いをこぼした。
キュヒョンの首筋から肩にかけ唇を滑らしていたシウォンが、"ん?どうした?"と肩に手を置き顔を覗き込むと、キュヒョンは"なんでもない。"とその手に自分の手を重ねた。
『そ?ならいいけど』
重ねられた手の甲にキスを落とすとシウォンは愛おしそうに、その指の一本一本にキスをした。