はぁ・・・
今日は本当に散々だった。
患者の検査出しのタイミングが遅れたり、
車椅子介助で力加減を間違えて、患者さんを振り落すところだったし、
オペのために絶食中の患者さんに食事を与えようとするところだったし、
点滴のバック取り違えるとか、
間違った薬服薬させるとか、
とにかくありえない程のダメダメぶりで、
ウニョクがカバーしてくれてなかったら
大事故を起こしかねないくらいボロボロだった。
1日何枚インシデント書けば気が済むんだってくらい
書かなきゃいけなくて、本当はもう上がるはずなのにまだ足止め食ってる。
師長には体調が悪い時は休みなさい。って注意された。
ミスの連発に、さすがに怒られた。
業務に支障があって、医療ミスが起きるより
みんなであなたの穴をカバーした方がよっぽどいいのだと何度も言われた。
ったく・・・
自分でも情けない。
あ、あんなくらいで業務に集中できなくなるなんて・・・
くっそー!!
それもこれも、あそこにいるあの人。
師長はじめ、ナースたちみんなに囲まれて楽しそうに愛想振りまくっているあいつ。
シウォン先生のせいだ!

朝、仕事があるってのに、寝てる間に不覚にも襲われて、
最後は本気の腰使われて、
離してくれなくて、意識飛ばされて、遅刻して、
おまけに業務に入る直前に
あんな・・・あんな・・・
腰ぬけるだろ!あんなキスされたら!!
くっそー!!
仕事なんかできるわけがないっ!!!
あっ、間違えた・・・
ここは、自分の名前書かなくちゃ・・・
えっと、日付と・・・
何時に発生したか・・・そんなの覚えてななし・・・
もぉー・・・めんどくさいな・・・
”くっそ!!”
と思わず口から声が飛び出して
みんなが一斉にこちらを向いてバツが悪かった。
何だよ、あの先生のしたり顔。
みんなが見てるだろ!
そんな目で見るなよ!
変な汗でてきちゃったじゃないか・・・
あぁ、もぉー!!
レポートすらまともに書けない!
「おい、キュヒョン。まだ書いてんのか?」
頭を掻きむしっていると、ウニョクが声をかけてきた。
「ん?あぁ、もう終わると思う。」
「お前、ほんと今日はヤバかったぞ。流石に俺も焦った。」
「あぁ、ごめん。ほんと助かった。おかげでこれだけですんだ。」
「まぁ、昨日の今日で、相当やられたんだろうし・・・当然か。」
「あぁ・・・もう反論する気もない・・・」
「キュヒョン。そこ否定しろよ。俺、また変な想像しちゃう。」
「っるさいなぁ・・・もう否定する気力もないんだよ。」
「ふーん・・・ってか、お前ヤバいオーラ出てる・・・」
「なんだよそれ。意味分かんねぇ。」
「先生が離れないわけだよな。これじゃ。」
「はぁ?」
「だって、ずっとこっち伺いながらあそこから離れないじゃんか。」
「はん!かわいいナースたちに囲まれてご満悦なだけだろ。あれ。
俺って流石、やっぱいい男!俺の魅力にみんなメロメロ~って。
全く何やってるんだか・・・」
「キュヒョン・・・お前さぁ、ほんと惚れてんだな。先生に。」
「ヒョク。なに言ってんの?」
「だって、”俺って流石、やっぱいい男!俺の魅力にみんなメロメロ~”だっけ?
それってお前がそう思ってるってわけジャン。俺、先生にメロメロ~って。」
「(ぶはッ!)ヒョク、変なこと言うなよ。あぁあ、見ろよ、水、吹き出しちゃったから
書類濡れちゃったじゃやないか!もう終わるところだったのに!」
慌ててペーパータオルで書類に散った水をふき取った。
改めて言われると顔から火が出るんじゃないかってくらい恥ずかしかった。
ウニョクのヤツ・・・
「とりあえず出してくる。」
「あぁ、一発オーケーだといいな。」
「あぁ、問題はそこだな・・・」
キュヒョンはインシデントレポートを提出に
シウォンと談笑している師長のところへ行った。
「あの。師長、これ・・・。」
「あぁ、キュヒョンさん。書けたの?」
「はい、一応・・・」
そういって手渡そうとしたときシウォン先生がその書類を手に取った。
『どうしたんですか?なにかあったのかな?』
手にした書類にさっと目を通して”これは、これは・・・ひどい・・・”
そう言って大げさに肩をすくめ、師長にため息と一緒に渡した。
「そうなのよ。今日のキュヒョンさん、ミスばかりして。
体調悪そうだったから、今度からそういう時はちゃんと休むようんい注意したのよ。」
『ん?体調悪かったの?それは大変だったね。誰かと夜遊びでもした?
なにか薬でも出そうか?』
「あら、そうよ。シウォン先生に診てもらって処方してもらいなさい。
それで明後日でてらっしゃいよ。」
「あっ、いえ、大丈夫です。じゃぁ、失礼します。」
「書類、目を通して修正するようだったら明後日にお願いするわね。」
「はい。わかりました。今日は本当に申し訳ありませんでした。」
「まぁ、これからはミスが無い様、心かけてくださいね。お疲れ様。
じゃあ、シウォン先生もお疲れ様でした。キュヒョンさんの事よろしく。」
『お疲れ様です。師長。キュヒョンくんのことはご心配なく。
誠心誠意、ちゃんと見ておきますから。』
何だよ今の。
”これはひどい・・・”って何なんだよ。あの茶番。
しかも”夜遊びでも・・・”って
誰のせいでこうなったと思ってるんだよ!
『どうした、キュヒョン。怖い顔して』
「別に・・・」
『そうか?なんだか怒ってるように見えるけど。』
「だから、なんでもないです!じゃぁ、着替えてくるんで。」
『あぁ、これからまっすぐチョウミの所へ行こう。』
「・・・・・」
『あっ、なにかお薬、お出ししましょうか?』
「いらないの知ってるよね・・・」
『いや、師長命令だからさ。なにもしなかったって知られたら
俺が今度はおこられちゃうよ。』
「誰のせいだと思ってるんだよ。ったく。」
『誰のせいって?』
「もーいい。あっ、そうだ。チェ・シウォンって人に薬出してよ。
バカにつける薬!!」
『何だそれ。』
シウォンは心底おかしそうに笑みを浮かべ、最後の書類にサインをした。
「先生!」
『おぉ、ウニョクどうした?』
「先生やりすぎだよ。あれ。キュヒョン、ほんとにヤバかったんだから。」
『え?そんなにか?』
「うん、そんなに。」
『そう言われてもな・・・やりすぎって言われるほどにはぜんぜん。』
「先生のぜんぜんは、ぜんぜんじゃないから怖いんだけど・・・」
『お前、それ、人聞き悪い・・・』
「ほんとの事ですよ。あっ、そうだ、先生これ。」
『何だ?あぁ~、どうだった?』
「大丈夫。悪さする成分は入ってないって。ただかなり純度いいから
本当に少しで効果あるから使いすぎるなって。」
『そうか。じゃあ良かった。』
「先生、それ・・・どうするの?」
『さぁな。捨てるのもなんだし・・・かといって薬必要ないほどキュヒョンはすぐ
トロトロになっちゃうし・・・』
「トロトロって・・・先生、それなんかエロい。」
『お前いるか?』
「え?いや、トゥギ先生にも必要ないですから。俺のですぐトロトロですから。」
『でも、ちょっとは気にならないかどうなるか。』
「そりゃー、気になりますけど・・・」
『今日はダメだけど、後でやるよ。』
「え?今日?先生何する気・・・?使うの?」
それには答えずシーッと唇に手を当てニヤリと笑ったシウォンの姿に
ウニョクはキュヒョンの受難を流石に気の毒に思いながら
他言無用合図にうんうんとただただ首を縦に振った。
そして、鼻歌を唄いながら帰っていくシウォンを見送った。
キュヒョン。
ご愁傷様・・・
そしてウニョクもふぅ!と一息吐き、イトゥクの待つ駐車場へと向かった。