『どうだ、調子は。気持ちが悪いとかないか?』
シウォンが声を掛けた。
「うん大丈夫。でもちょっと疲れたから俺、もう寝るね・・・」
『あ・・・そ、そうだな。きょうはもう休んだ方がいい。』
「うん。じゃぁ、おやすみ・・・」
病院から戻ったシウォンとちょっと遅めの夕食を食べ
どちらから声を掛けることもなく過ごしていた。
静かな夜だった。
なんとなく居心地悪く思わずキュヒョンは”もう寝る”と言ったが
いつものシウォンの寝室へ向かうか、ほとんど使うことはなかったが
一応用意してもらっている自分の部屋へ向かうか一瞬躊躇したが、
シウォンの寝室に向かった。
ベッドに潜りこむとシウォンをより強く感じ、また胸がざわついた。
眠れない・・・
キュヒョンは何度も寝返りを打ったり枕を抱えてみたりしてみた。
やっぱり眠れない・・・
頭の芯がズーンと痛み、思わず顔をしかめた。
諦めて半身を起こし、深くため息をついた。
しばらくするとシウォンが入ってきた。
『どうした?具合悪いのか?』
焦った様子でキュヒョンに駆け寄った。
「ううん。大丈夫・・・」
そう言いながらキュヒョンは横になった。
シウォンもいつものようにベッドに横になり
何かあったらすぐ起こすようにと声をかけ”おやすみ”と言った。
お互い背を向けて寝るなんて・・・今までなかった事だった。
キュヒョンはもしシウォンが体に触れてきたらどうしよう・・・
と考えなくもなかったがそのまま何もしてこないシウォンに
ちょっとホッとしたのも事実だった。
シウォンは全理性を総動員してキュヒョンに触れたい衝動と戦っていた。
キュヒョンの前では平静を装っていたが修行僧にでもなったようだと苦笑いで自分をごまかした。
そしてイェソンの言葉を頭の中でずっと繰り返し顔の横で枕をギュッと握った。
ほどなく緊張も解け始めた頃、キュヒョンから規則正しい寝息が感じられた。
退院してきてやっぱり疲れていたんだろう・・・
愛しさのあまり、キュヒョンを起こさないよう気を付けながらそっと髪を撫でながら
しばらくその寝顔を見つめていた。
「ん・・・んん・・・」
キュヒョンが身じろぎし、髪に触れていたシウォンの手をいきなり掴んだ。
シウォンが慌てて手を引こうとしたが、キュヒョンはその手を
そのまま自分の胸に抱え込んでしまった。
シウォンは腕をそのまま預け、結局はキュヒョンを後ろからそっと抱きしめる形となったまま
キュヒョンに寄り添って眠りについた。
二日目の夜。
お互いの背中が触れ合い、お互いの存在を背中に感じながら眠った。
触れ合った背中が熱かった。
三日目の夜。
いつの間にやら気が付くと、背を向けるシウォンに
キュヒョンからぴったり寄り添って眠っていた。
四日目の夜。
気が付くとシウォンの胸元に潜りこんだ様な形で寄り添って眠っていた。
五日目からは
どちらからともなく寄り添いシウォンの腕枕で足を絡ませ
お互いこの上ない安らぎに包まれて眠った。
最初はイェソンの奴・・・と思っていたシウォンだったが、
キュヒョンの安らいだ寝顔を見つめていると
ただ触れ合っているだけでも気持ちは伝わるんだと、
確かにこういうのもいいのかもなぁ・・・と思ったりもしていた。