「キュヒョナ・・・キュヒョナ・・・着いたよ。」
「ん・・・うち?」
「そうだよ。着いたよ。さぁ、起きて。」
「ヒョン・・・俺・・・どうしよう・・・」
荷物を下そうと車の中を覗き込んでいたシウォンがキュヒョンを見ると
真っ青になって震えていた。
「どうした?!キュヒョン、痛むのか?大丈夫か?」
慌ててシウォンは助手席側に回りキュヒョンに駆け寄り体の状態を調べ始めた。
「ヒョン・・・ヒョン・・・」
キュヒョンはシウォンの腕にしがみついてすがりついてきた。
「どうしたんだ?痛いのか?気分悪いのか?どうしてほしい?」
「ヒョン、早く・・・早く部屋に・・・」
「あぁ、わかった。立てるか?歩けるか?」
キュヒョンを車から降ろし、腕につかまらせふたりの部屋へ向かった。
「さぁ、座って・・・」
シウォンはキュヒョンをソファーに座らせた。
「ちょっと待って、水持ってくるから。」
「うん・・・」
が、キュヒョンはシウォンの服の裾を持って放さなかった。
シウォンは眉をあげ、微笑みながらキュヒョンのその手を取りキュヒョンの横へ腰を下し
キュヒョンの肩を抱き寄せた。
キュヒョンはそのシウォンの肩口に頭をもたげた。
シウォンは優しくその肩を撫でながら髪にくちづけしキュヒョンが落ち着くのを見守った。
ゆっくり時間が流れる中、キュヒョンが声を発した。
「本当はすごく怖かった・・・」
「ん?」
「すっごく怖くて・・・思いだしちゃって・・・前のこと・・・」
「・・・そうか・・・そうだな。」
「でもみんなに心配かけちゃうから・・・俺・・・」
「ん・・・よく頑張ったな・・・」
「怖かった・・・」
「これくらいで済んで本当によかったな。」
心からそう思ってシウォンはキュヒョンを更に熱く抱きしめた。
「・・・てくれる?」
「ん?」
「助けてくれる?」
「え・・・?なんだ?」
「もし、また俺の心臓止まったら、ヒョンがまた・・・動かしてくれる?」
「おいおい、何言ってるんだよ。」
「ねぇ、またちゃんと動かしてくれる?」
「え・・・?もちろんだよ。絶対動かしてやる。」
自分を必死に見つめ訴えてくるキュヒョンの眼差しを受け止め
シウォンはその唇にそっと触れながら応えた。
「絶対だよ、絶対・・・」
「あぁ、絶対だ。」
「約束だからね・・・」
「あぁ、約束だ。
でも、そんなことがあったら俺の心臓の方が先に停止しちゃうから
絶対やめてくれよ。自分の心臓は俺にも直せない。絶対ダメだからな。」
シウォンの力強い言葉にキュヒョンの表情が和らいだ。
「ヒョンは俺のヒーローだから・・・」
「・・・?ヒーロー?」
「うん。俺を助けてくれるヒーロー。」
そう言ってキュヒョンは口角をすっと上げ
いつもの感じでちょっと上から目線で笑った。
(ヤバい・・・かわいすぎるだろ・・・)
シウォンはちょっと焦りながら咳払いをひとつした。
「さぁ、おいで・・・」
キュヒョンを膝の上に跨らせ向かい合い抱きしめた。
シウォンの首筋に顔をうずめ、大きくため息をついた
キュヒョンの体から力が抜けていくのがわかった。
シウォンはキュヒョンの顎をすっとあげ唇に触れた。
最初は優しくついばむように。
キュヒョンの体の事を思い、優しく触れるだけのキス。
が、キュヒョンの甘い吐息がシウォンの箍を外していく。
「キュヒョナ・・・体、大丈夫か?辛くないか?」
「・・・大丈夫・・・ヒョン、大丈夫・・・」
「キュヒョナ・・・どうして欲しい?」
「ヒョン・・・いつもみたいに・・・」
「いいのか?」
キュヒョンはうんうんと頷いてシウォンからの与えられる喜びを求めた。
「あぁ・・・わかった・・・」
シウォンの箍はキュヒョンの潤んだ瞳に吸い込まれて行った。