本当は今すぐ追いかけて誤解だと叫びたいキュヒョンだったが力なく笑うしかなった。
「あっ、先生。キュヒョンどうでした?」
ウニョクが仮眠室から出てくるシウォンに声をかけたが、
シウォンはそれには答えず大股で病棟から出て行った。
「先生、どうしたんだ?」ウニョクは首をかしげた。
そこには楽しそうに笑っているソンミンと真っ青な顔をしたキュヒョンがいた。
「おーウニョク!ちょうど点滴が終わるみたいだよ。」
「ソンミン、どうしたんだよ。まだいたのか?」
「あぁ、ちょっとキュヒョンとふざけてたら遅くなっちゃった。」
「え・・・?」
「なんかシウォン先生に誤解されちゃったかなぁ。なんか慌てて出て行っちゃったんだよな。」
とソンミンは笑った。
キュヒョンは笑おうとするが笑えなかった。
「なんだよ、お前たちできてたのかよぉ~。さぁさぁ、続きは他でやってくれ。」
ソンミンの肩を押しながら仮眠室から連れ出した。
残されたキュヒョンは自分の体が小刻みに震えているのがわかった。
寒いから・・・?
いや、さっきのシウォンの低く、抑揚のない声を聴いたから・・・
なんでこうなってしまうのだろう・・・
「痛った・・・」
キュヒョンは点滴の針を自分で抜いた。
戻ってきたウニョクが処置をしてくれた。
「誤解なのに・・・バカみたいだな・・・」
力なく立ち上がったキュヒョンは笑って見せた。
「帰るね。ありがとう」出口に向かった。
「おい、誤解されたままはどうであれこうであれよくないぞ。ちゃんと話さないと・・・」
そういってくれるウニョクの声が仮眠室に響いた。
シウォンは自分の中に湧き上がる感情を持て余していた。
キュヒョンが心配で合間を縫って様子を見に行ったらあの情景。
俺の前ではいつも辛そうな顔のキュヒョンがあの男と楽しそうにベットの上で・・・
そりゃ、キュヒョンだって友達はいるし、みんなにいかわいがられているのはわかる。
あれだってただの戯言だってわかっている。
頭では分かっているが、どうしても感情のコントロールが難しい。
キュヒョンの気持ちがわからないから余計難しい。
「どれだけ惚れてるんだ・・・俺は・・・」
シウォンは「ジーザス・・・」とつぶやいた。
「この電話は電源が入っていないか・・・」
シウォンに電話してみたがつながらない。
何度目かに伝言を残した。
「・・・連絡ください・・・」これが精いっぱいだった。
シウォンは留守電を再生した。
「・・・連絡ください・・・」
しかし、消去ボタンを押した。